美咲とわたしのお話(3)
毎晩ではありませんが、
それでも「イトウミサキ」への電話は続きました。
その都度、相手は違うようです。
私はちょっとした悪戯心から
「美咲は帰って来ていない。
君、娘に会ったら
おとうさんは怒っていないから、
帰って来るように言ってくれないか」
と、やってしまった。
はあ?
相手は半信半疑のまま電話を切ります。
それから数日後
夜の十時前、我が家の電話が鳴ります。
またかと、私が出る。
「モシモシ?」
けれども、今夜は相手の反応がない。
「モシモシ…」
仕方がないので受話器を置こうとしました。
そのとき、
「おとうさん」
受話器の向こうから微かに聞こえてた女性の声
「美咲、美咲なのか?」
電話は切れてしまいました。