あかんたれブルース

継続はチカラかな

三平と頑子の再会



それからママさんとはどうなったんですか?

金町の居酒屋でたまたま隣同士になった
初老の男に馬太郎は聞きました。

見知らぬ男同士の邂逅は
馬太郎がなにげにくちずさんでしまった
新宿そだちの女なんてさの
フレーズがきっかけだった。

「若いのにずいぶん古い曲を知ってるんだね」

それから同棲して、店をたたんで
松戸の市営住宅で余生を送ったそうです。
十年前にママさんは他界して
三平さんそれからずっとひとりだとか。

亀は万年っていうけれど
長生きはしたくないもんだよ
とこぼす三平さん。

頑子さんとはその後遭うはなかったのですか?

会ったよ。

えっつ?

木更津でツンツンバーをやっていた。

ツンツンですか?

ツンデレっていうのが流行っただろう。
一昨年、老人会の慰安旅行で千葉に潮干狩りに
いったときに仲間に誘われて偶然入った店に
頑子はいた。

ドラマチックですね。

ドラマチックなものかい。
相変わらずツンツンしてたよ。

デレはないんですか?

ない。だからツンツン酒場なのさ。

どうでした?

店は繁盛してるみたいだった。

いや、頑子さんですよ。

相変わらずだった。
というか私のことを気づかなかった。

三平さんは自分から名乗らなかったのですか。

そんなことしても意味ないじゃないか。

意味が必要でしょうか。

馬太郎さん、この世のすべてに意味があるんだよ。
そんなどっちでもとれるような
曖昧な思いで声をかけたりしてはいけないと
わたしは思うけどね。

そうですね。
そうだと思います。失礼しました。

謝ることはないさ。
でね、頑子が歌ったんだ。カラオケで
なんの歌だったと思う?

わかりません。

それが、中島みゆきの「女なんてものに」なのさ。
皮肉というかお笑いだねえ。

三平さん、人生とは?

「喜劇だ」