あかんたれブルース

継続はチカラかな

三大不治の病



パソコンを開くとネットニュースに
まず目がいきます。

ハンセン病:遺体、標本に 
昭和初期の熊本医科大、九州療養所の20体
http://mainichi.jp/area/news/20130510ddp041040019000c.html

この病を扱った日本映画では『砂の器』が
有名ですが、差別ということは
理解できても、患者の過酷さをどこまで
描ききれたものか・・・つまり表現として
わたしがショックを受けたのは
ティーブ・マックインの『パピヨン』だった。

業病といわれたこの病はらい病ともいわれ
その原因がはっきりしないまま
隔離政策がとられていた。
(1907年から90年間)
遺伝が原因と考えられたことから
患者本人だけでなく家族まで差別されました。

東映の映画で元やくざの親分(美能幸三)が
刑務所で知った脱獄囚の自伝映画を企画して
高齢のため仮出所となったモデルの老人
(日本最長有期刑41年7ヵ月)を
故郷に連れていく逸話があって
同行したのはプロデューサーと脚本家の合計四人
懐かしい故郷なのですが住民がみょうに
よそよそしい
この老人の家族からハンセン氏病患者が
でたからだったそうです。
この地域は被差別部落だった。
差別される側の人たちのなかにも差別がある。
これが1970年代はじめの話ですかね。
(映画『広島強盗殺人囚』は1974年の公開)
この頃はまだ隔離政策がとられていたわけだ。

現在では知識も治療法も確立されて
薬で治ることから
らい病とかハンセン氏病なんてほとんど聞かないし
知る人も少ないでしょう。
たまにニュースで昔そういう人権蹂躙の
差別と政策があったんだ・・・ぐらい

結核もついこの間まで死病ですからねえ
渥美清もそれで隔離病棟に入って死を覚悟した
わけです。

また、『JIN-仁』に登場した
アスピリンだって第二次世界大戦中に
ようやく使用されたわけです。

近現代史のなかで19世紀から20世紀にかけて
いや現在でも、かな
医学医療はドイツが牽引し主導権と権威を
もっていました。
それは細菌とか感染の病気の撲滅だったとも
いえる。ペストとかコレラとか性病とか・・・
そういった様々な病の厄災悲劇から
人類は解放されてきたわけです。
無論、ドイツ医学が絶対というわけではなく
脚気を細菌が原因とした甚大な人災もあった。
それが栄養問題だと立証されるのは
ビタミンB1の発見を待たなければならない。

イギリスの治療医学と比較して
ドイツ医学は研究医学でまず原因の究明に
主眼がおかれている。
だから、それまでの患者は治療じゃなくて
研究対象のモルモットでもあるわけです。
はたしてそれを単純に批判できるものか
わたしには判断がつきません。

かといって、
昭和初期の熊本医科大の行為が正しいなんて
これっぽちも思いませんよ。
ただ、ここでいう専門家の
「遺族の承諾を得ていない可能性があり
 重大な人権侵害」という主張に
あの時代にそれが通用したのかどうか・・・
主張に正当性があればあるほど
考えてしまうのです。
なんというか「人権」という言葉が
時代の風化以上にむなしくなってしまう。
ましてや、
差別を受ける家族が、その家族が
業病という認識で縁を断とうという時代。
誰もそれが遺伝でもなく、感染力も小さい
なんて知らない時代だ。

その時代の倫理と現代の倫理を重ねて判断する
ことがはたしてどれほどの意義と意味があるのか
わたしにはわからない。

標本を作ったからって治療に効果があったか
なんてわからないし、あっても大したことじゃ
なかったと思います。
医学ってある意味残酷ですからね
『海と毒薬』とか731部隊とか

でもさ、ハンセン氏病の差別を風化させたのは
その医学の進歩からだともいえる。

ハンセン氏病の原因は幼児期の
免疫力の弱さによる感染だそうです。
栄養の問題、衛生環境の問題、教育、
豊かさの問題でもあったわけだ。
薬の発明以上にこれも大きい。

また、豊かさについて考えさせられます。

と同時に
もっと重要な問題が「現在に」ある
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130814-00000093-mai-soci

ハンセン氏病は駆逐できたかもしれないが
患者はまだいるわけです。
そして高齢化している。
事業仕分けでこういったところまで影響して
いたなんてショックです。
税金の無駄遣いは他にもあったはずなのに。
これ以上、こういう人たちを苦しめてはいけないよ。
数的にそんな莫大な費用がかからないのに
なんで心無いことをするんだろう。
もっと気を使えないものか

それと、医学とか医療とか制度政策とは別に
差別やいじめは税金使わなくても
新しい新薬が発明されなくても
是正できる。
原因は、私たちだ。
もしこれを病気というのなら
まさに「業病」だ。