あかんたれブルース

継続はチカラかな

やさしいちんこをさがして



『パーマネント野ばら』いいわ。
西原作品は映画化するにあたっての
原作・素材として極上のネタだてことをますます痛感。
無論、監督吉田大八の力は認めた上での話ですよ。

西原作品の自伝的シチュエーションが
(四国・土佐・港町・ガラの悪いド田舎)
わたしの育った環境、
(九州・南薩・港町・ガラの悪いド田舎)
と似てるから感情移入しやすいせいもある。
そんなわけで作品評価は『桐島・・』『腑抜けども・・』
を越えて92点なのだ。

キーワードの「そこからの脱出」はこの三作に
共通していますが、西原作品の特徴でもあり
わたしら世代の地方出身者には共通の
あの頃の急きたてられる信念だった。
こんな所にいたらダメになってしまう・・・と

愛それは、ちんこ
みたいな下品な、頭抱えるような
寅さん映画に「あんな親戚身内がいたら」という
人だったら
「こんな故郷なんて笑えない、ゴメンだ!」と
必ずいうでしょうね。
田舎ってもともと生臭くてどろーんとしたところだよ。

ちょいす姉さんがこの映画に登場する男たちは
どれもこれもどうしよなさすぎる
といったけど、実にあんな感じでした。
特に港町ね。船乗りは寿命が短い
そして人生の半分を外の世界で過ごしている
世間知もみについていな。
そうでなくても退屈で平穏な田舎じゃあ
身を持ち崩してしまうんだ。
これ、終戦直後の日本全国がそんな感じで
隣近所酒乱の男どもが身を身を持ち崩していった。
酒だけじゃなく、博打や女とか・・・
そんな野郎どもでも女は愛おしむんだね。
これ、まさいくちんこの偶像崇拝だ。

小池栄子がいいです。
彼女とともさかりえは良い女優になる、いやなった。
作品中にある彼女の父親がボケてチェーンソーで
電柱を伐採するナンセンスなエピソード
それが途方もない感動の「ちょっといい話」に
なるなんて・・・西原の作品の反則技だ
パンツの中から栓抜きだされてコズかれた
いや、アイスピックかな(汗)
あの頃が一番幸せだっただなんて・・・
栄子よ泣かせるな優しすぎるよせつないよ
腑抜けどもにお前の歌をきかせてやりたい。

そういうのを横に置いても
切ない作品だ。
最初の伏線、仕掛けにまんまと騙された。
こういうのをカンヌにもっていってもわからんのかね。
他人事でも距離が離れすぎるとおよばざるが如し。

思ったのは、こういうのって(西原の世界)は
中島みゆきにはまったくないね。
それと、「そこ」からの脱出には
ある程度の頭の良さと何らかしらの才能才覚が
必要なんだっていうこと。
これって結構、きつい現実かもね。
脱出したからってどうってことでもない。
物語はそこからはじまってるだけの話なだけ

とらやの人たちが寅さんのたずね人広告を出すように
「そこ」から尋ね人広告を出したらしたら
「やさしいちんこを求めます」なんだろうかなあ

愛をちんこと表現する「そこ」の女たち
みゆき嬢が最後に求める愚かさとは次元が違う。
このドラマのヒロインはその次元と次元の間に
漂っている。そして自身を正常ではないと・・・
そのへんが切ないのだ。