あかんたれブルース

継続はチカラかな

嘆きのエバさん



お疲れさんです。
透析のせいなのかインターフェローのせいなのか
疲れるわあ・・・痛いほどの倦怠感
それに上乗せするのがうち看護士の対応。
横柄とかじゃないんだけど話が通じない。
能力、環境、マニュアル依存症・・なんなんだろう?
思い込みが強いっていうのもあるかな。
技師のほうはまともなんだけどね。
で、それに輪をかけてわたしを憂鬱にさせるのが
隣のベッドの婆さん「エバさん」だ。
可愛らしい婆さんなのだけど
「嘆きのエバさん」で始終泣き言を漏らしてる。
医師に、看護師に、技師に、そして院長に
それから独り事でも嘆いています。

それをずーっと横でわたしは聴かされているわけだ。

気も滅入るよ。

体の不調もあるんでしょうが
不安なんだね。そしてかまってほしいわけだ。
哀しい身の上話を聞いてほしい女なのさ。
でもさ、その内容っていえば
昨日から便が出ないから心配で
夜中の3時から便所でうんうんやってたら
誰だって具合悪くなるわなあ
「それで下剤何錠飲んだの?」と婦長が問えば
「8錠・・・。」
「は、8錠!」
思わずわたしも婦長の絶叫にハモっちゃったよ(汗)
「だって、」
このだってもエバさんの口癖だ。

ま、とにかく繰言のように誰彼なしに
こぼすこぼすいい募る
この間は院長にしこたま叱られてたよ(笑)
いじけっちゃってさ
ちょっと可哀想だったけどね。
で、その後看護士の質問に
「だって何も話すなって院長がいうもの」
だってよ(汗)
いやいやエバさんそうじゃなくて、院長は・・・
とチョッカイだしたくなるのをグッと堪える。
わたしを話し相手したくてウズウズしてるんだ。
そのオーラが痛いほど伝わってくるから
腰が引けてしまってるわけです。
頼むから俺を男妾かペットにしないでおくれ(涙)

で、エバさんの哀愁モードはどんどん
エスカレートしていきます。
「死にたい・・」とぽつりとこぼすのだ。
この間は院長の問診で
「・・先生、なんかお薬で死んだ人がいたみたいね。
 テレビでやっていたわ。
 ああいうお薬ワタシももらえないのかしら・・」
院長、無視。
そりゃそうだよね。
「あああ、死んでしまいたい・・」
今日もさ、技師のおっちゃんに不調を訴えながら
 このおっちゃんは人柄よく、エバさんの話を
 よく聞いてあげてる方なのですが、
エバさんまた調子にのって
「なんか透析してるときふわあとなって
 気が遠くなるのよね。このまま死なせてくれたら
 と思うのだけれども・・・」
「それじゃあ医療事故だよ」
流石のおっちゃん技師も憮然といった。
「でも、だって・・・」

あああっ、ウットオシイ苛々してくる。

ま、言う方も言う方だけれど
言わせる方も言わせるほうだと、わたしゃ
端で聴いてて思うけどね。
だいたいのここの看護師連中がめんどくさがって
エバさんの話を途中で遮って
一方的にそっちの言い分をいって席を立つ。
まあ忙しいからわからんでもない。
しかしあれじゃあ蛇の生殺しで
エバさんはまた最初から同じことを違う看護師に
訴えるわけだ。横にいるわたしはそれを最初から
また聴かされるわけで・・・拷問だよ(汗)
ヘッドフォーンでテレビのボリュームを大きくしても
なぜかエバさんの「泣き」は聴こえてくるんだ。
これって超常現象か?

「そういうことなの。わかった」
まるで子供を嗜めるように締めくくる看護士
話の途中で置き去りにされたエバさん。

「いっちゃった・・」

置き去りにされたのはエバさんだけじゃない。
横のベッドの俺も一緒。
困った婆だ。
カワイ子ぶりやがって可憐で繊細で
飴細工のように脆くて壊れやすいを全身で
表現しています。反則だよ。

「ありがとう」「ごめんなさいね」
エバさんはことあるごとに感謝の言葉を連発する。
それはいいんだ。いいんだけれど、過剰。
それを道具にしている。
それをもって哀れみを引き出そうとする。
だからみんなイラついてくるのだ。
横にいるわたしもイラついてくるもん。
逆効果なんだよ、エバさん!
といっても、また悲しむんだろうねえ。
「ごめんなさいね」って

なんとかなりませんかねぇ(涙)