あかんたれブルース

継続はチカラかな

さよならグランパ

山守さん弾はありゃせんがの(9)


文太追悼としてようやくそれらしく
菅原文太の遺作となる
『わたしのグランパ』が放映されていました。
わるくはないのですが
やっぱりコジンマリしてて淋しいなあ

原作は筒井康隆だとか。
主人公の設定としては文太にピタリですが
できれば長期服役帰りの残侠文太爺であれば
多少懲役ボケがあってもよくて
子分には浅野忠信をもってこずとも
渡瀬恒彦でよかったのではないかと思う。
セーラー服と機関銃のようにバリバリやって
ほしかったです。

文太の子分は?
そりゃあなんといっても渡瀬恒彦ですよ。
兄弟分は松方弘樹で兄貴分は梅宮辰夫
ライバルは小林旭と決まってる。

伊武雅刀などという嘘っぽい役者じゃなく
でんでんでも起用してほしかったです。
舞台を関東近県(栃木県足利市撮影)じゃなくて
広島県呉市だったら面白かったのになあ。

石原さとみはOKです。

あ~あ、結局死んじゃったか・・・
最後の死に花にしては淋しいものがありますが
「いい人」で死んだわけだ。
これって健さん同様に企画制作する側が
もてあましたともいえなくもない。
最近の東映はめっきり東映らしくない。

菅原文太の遺作は東映じゃなく
宮崎駿ジブリが用意してくれたと思う。
それが『ゲド戦記』のゲドであり
千と千尋の神隠し』の釜爺だった。

昔、『七人の侍』を観て志村喬に憧れましたが
この文太(声優)演じたゲドも孤高でよかった。
気ままからすっかり脱却していた。

釜爺は文太の「情」をみっちり踏襲し
砂糖菓子のように仕立てたキャラクターだった。
釜爺の口から「愛」という言葉を聞き
「グッドラック」というエールもこそばゆく
うれしかったです。

昔、サントリーのCMで角だったかなあ?
松方弘樹と列車で旅してる設定で
松方がおつまみの「柿の種」のおかきばかり
無神経に口に放り込むのを
「なんで柿の種ばかり食うんじゃあ
 ピーナッツがかわいそうじゃろう」と
困惑苦言を漏らす、文太。
かわいらしいねえ。
そういうコミカルで温かい味のある俳優でもあった。

なんかくりごとになっちゃうねえ。
この辺でお開きにしましょうか。
最後に文太の名演技として、
ツバの吐き方篇
仁義なき戦い完結篇』で
刑務所に面会に来た市岡(松方)から渡された
ポケットウイスキーを口に含んで
実に静かにツバを吐く、
あれはヤンキーどもがよくやった
マーマレードであれば苦い朝があるように
男には苦い酒もある。

切ないまなざし篇
仁義なき戦い第一作』で刑務所に面会に来た
若杉(梅宮)に
「兄貴、今度ここを出たらあんたのところに行くよ」
ああいいうのは文太じゃないとできないねえ。

そして、このシリーズのラストで
武田(小林旭)にいう。
「そっちとは飲まん」

「死んでいった者に悪い」と。

これだよ、これ。
これが菅原文太の魅力だ。