あかんたれブルース

継続はチカラかな

魔性の女が追ってくる(汗)



ここんところ体調を崩してて
DVDを借りて観る気力がなかったのですが
数日前ぐらいからちょっとマシになって
文太追悼をかねて久々に行ったよ。
そのなかで、やっぱり借りてしまった
健さんの『夜叉』
やっぱりこれいいです。
私的には健さん作品ナンバーワンかもしれない。

この作品と『居酒屋兆冶』を重ねて観ると
面白いと思います。
これは日本人の倫理を問いただす、といったら
大げさかもしれませんが、考えるテキストだ。
降旗康男という監督がそれを意図して
挑戦したとするならばそれは凄いと思う。
けれどもはたしてそこまで考えたかどうか?

ま、とにかく健さんを語るならば
降旗作品の『駅 STATION』(81年)
『居酒屋兆治』(83年)『夜叉』(85年)
の三本でよろしい。

さて、この『兆冶』と『夜叉』には
魔性がとり憑いている。
それが大原麗子のさよと
田中裕子の蛍子だ。
『居酒屋兆冶』はこの魔性にとり殺された
大失敗作といっても過言ではない。
役者が主役を喰うっていうのは聞きますが
女優が作品を喰ってしまったって話は
前代未聞ではないでしょうか。
その話はいずれまたやるとして
久々に『夜叉』を観たのですが非常に良い。
オリジナル脚本のようですが、良い。
断然、田中裕子が良い。
そんな美人でもないのにねえ・・・
なんだろうこの魔性の色気は?

結局、健さんが添い遂げるミューズが
この田中裕子(『ホタル』『あなたへ』)
という因果となっている点も興味深い。

『夜叉』ではこの魔性の蛍子を健さん抱いたからね。
『黄色いハンカチ』『駅』で倍賞千恵子を抱いた
みたいですがその場はカットされていました。
『夜叉』では濃厚に抱いた。
それだけでも凄い。

倫理の話として、『兆冶』も『夜叉』も不倫の話だ。
まず、『兆冶』には二人の小学生の娘有り。
『夜叉』の修治にも二男一女の子供有り。
妻子持ちなわけだ。
兆冶は元造船会社脱サラの飲食店経営者。
修治は元暴力団員で今は漁師。
双方才色兼備の良妻賢母の妻子持ちです。
そこに魔性の女が現れた。
さあ、どうする。
この比較が非常に面白いわけです。
もしかしたら降旗監督は『兆冶』のリベンジで
『夜叉』を撮ったのだろうか?

ふたつの筋立ての違いはやくざと堅気の違い?
『兆冶』の脚本が非常に荒いことも原因してる。
でもそれも降旗監督の責任でもあるしね。

しかしなあこの間だんぜん倍賞千恵子だって
言い切った自分がいまここで木こりになって
森の中で斧を落したら
湖の中からいしだあゆみの女神出てきて
馬太郎あなたが落としたどれですか?
(A)倍賞千恵子
(B)大原麗子
(C)田中裕子

だったら迷うよなあ(汗)
で、田中裕子はダークホースのはずなのに
『夜叉』を観た直後なら断然田中裕子を選びそう。
それくらい魔性ってことです。

倫理もなにもあったもんじゃない
それくらいヤバイ映画だ。