あかんたれブルース

継続はチカラかな

幸子の失敗

厄介なひとたち 8


うちの幸子は母親からわたし、そして幸子と
アホの遺伝子を十二分に継承しています。
これは九州人特有なのかしれませんねえ
ペコロスの母に会いに行く』を読みながら
そんなことも思いましたが・・・

幸子は高校時代「ハイジ」という渾名をいただく
天然で気の良い人でした。
どっちかというと気を使いすぎる人で
社交的なようで人間関係は苦手なほうです。
それをそのままに50歳になってしまった。
発達障害の人でもある。

先日、わたしがファミレスに4時間軟禁状態のとき
幸子からケータイがあったので救われて
なんやかんやと無駄話に花を咲かせていたのですが
そのなかで、うちの母親と(父方の)叔母の
「優しさ」の質の違いを幸子が訴えていました。

幸子の仕事上のパートナー劉さんには
日本人との奥さんとの間に一人娘がいます。
色々事情があってその娘(小6)を
仕事場で面倒みなくてはならなくなった。
そうするとなにかと幸子が面倒をみる機会が多い。
そうなるとなんやかんやと中国人の娘なので
非常識なこともやるし、コントのような連日だ。
その苦情を面白く可笑しく幸子は開帳して
ストレス解消をやるわけです。
うちの母親やまあわたしも頭を抱えながら
笑って聞いているのですが、
それを先日帰省したときに茶飲み話に叔母にした。

そしたら、叔母が突然怒り出して
「そういのをあなたが面倒みる必要はない!」
「そういうのは地域の民政委員にまかせるべきだ」
という剣幕に幸子は驚き
そのことを自分の母親と叔母の情の体温差と
認識して、うちの母はやさしい
対して叔母は冷たいと感じたんだといいます。

まあ、それもあるんだろうけれど
それ以前にそういう話を迂闊にも叔母さんに
してしまったことが問題なんじゃない。
とわたしが言うと、その意味がわからないという。

幸子は対人の「間」の取り方がわかっていない。
「間」とは「距離感」のことでもあるかな。
身近な人はみ~んな一緒。
そしていい人とわるい人にしか区別しない。
叔母に対しても身近な人と解釈したんでしょう。

その話はえらく叔母を苛立たせた。
それを幸子は理解できていない。
酷な言い方になるけど、思いやりに欠けているんだな。

知り合いの娘の世話をする
幸子の行いは善行であり美談でもある。
しかしそれには様々なアクシデントが伴います。
叔母はそれを自分に当てはめてみたんでしょうねえ。
「自分にできるか?」
知らず知らず幸子は叔母を追い込んで
イラつかせてしまっていた。
「なんでそんなことをやる必要がある!」
と反発し攻撃に転じた。
幸子びっくり・・笑ってくれるかなとか
できれば同情するか労ってくれるかなとかいう
甘い目論見は木っ端微塵。

うちの母親と叔母は同級生で
断然叔母のほうが頭がいい。
長年民生委員もやってきた人です。
ある種クールなところもあって世間知にも長けている
のですが、そのぶん神経質で対人関係は上手くはない。
対してうちの母親はアホですから
八方美人で社交的で無防備で考え無し。
その行動には論理的なものはない。
結果、あっちこちで問題を起こしては
わたしや幸子を悩ませる小悪魔的な女性です。

叔母はそういううちの母親が嫌いだ。

そんな叔母の神経質は常にピリピリして
世間に対して張りめぐされています。
過剰反応したりして常に身構えている。
うちの母親とは正反対なんだよね。

そういうDNAを共有する家族の間で
成立する与太話が、親戚だってだけで
他にも通じると考えた、これは幸子の失敗なのだ。

そのへんのニュアンスがいまひとつ
幸子にはわからないようです。
兄として、噛んでふくんで聞かせて理解させて
やらないといけないと思っていますが
なかなか難しい。
それ自体は理解できても
実際にそういう間合いとか距離感をとるには
経験や訓練がいるものですからねえ
ただたんに距離とればいいってものでもないし。
ぼちぼちかな

とは別に、わたしは自分達の愚かな母親の存在が
うれしくなってもきた。
ホント、漫画みたいな人ですがそういう愚かさは
許せるし、ときに救われるものです。