あかんたれブルース

継続はチカラかな

口先筆先だけじゃない男の意気地

ムンムンぷんぷんの昭和の体臭(3)


2012年に死去した真樹日佐夫のこと
もうすこし語らせて

真樹は梶原一騎実弟で末弟の日佐志と共に
梶原三兄弟といわれています。
この兄弟、とても仲が良いのだ。
特に、梶原と真樹の兄弟愛はこの不肖の兄が
どんな境遇に陥ってもかわらなかったし
また極悪人とされた梶原も真樹にはすこぶる
優しかったことが真樹の遺作となる自叙伝で
熱く語られています。

梶原は酒豪ではあっても酒乱で
それが後々彼の人生を破綻に導くのですが
真樹が梶原の酒の隣にいた時間は他の誰よりも多い。
酒の場だけでなく彼の人生でもっとも
接する時間が長かったのも梶原とではなかったか。
不思議と梶原が弟の真樹に手を上げるとか
暴言を吐くとか兄弟で揉めたという話は
その回顧録には出てこない。

そういう兄サンじゃなかんだと
真樹はその本で伝えたかったんだと思う。
最期まで真樹は兄の味方を通したわけです。

真樹はもうひとつの三兄弟をもっている。
極真空手大山倍達と梶原と真樹は
義兄弟としての三兄弟でもあった。
あったと過去形にしたのは
大山と梶原が揉めてしまって
結局仲たがいしたまま梶原は死去してしまう。
トラブルメーカーの梶原は対人関係で
揉めることが多かった。
世間がいうように悪徳の帝王なのだ。
そのことを真樹は弁明はしないけれど
自分にとってはイイ兄貴だったと庇う。
梶原の追悼文に大山倍達
「もっとはやく仲直りしていればよかった」
という子供じみた本音の言葉をもらしていた。

なんかね、昭和の臭いがプンプンなんだよ。
ケレン味の香る真樹の文章は好きにはなれない
けれど、この暑苦しいほどのねっとり感は
懐かしいあの昭和の臭いがする。
それは巨人の星あしたのジョーにもあった
梶原一騎の世界そのものだった。

暴行をうけた講談社の副編集長や
赤坂のホステスなどなど
非は完全に梶原にあるんでしょうが
どんなものでも100%ってことはなく
99%梶原が悪いとして
その残りの1%以下のなかに、なにかあるんだろう。
その小さな中に真樹の兄弟愛は存在する。
知らない人間がどうこういえない
踏み込めない世界がある。
そういうものなんじゃないかな。

兄貴に劣らずコワモテの顔してんのにね。
梶原一騎が51歳で死去して
真樹はそれから四半世紀生きて71歳で死ぬ。
その25年間をずっとこの不肖の兄を守っていた
なんてやっぱり泣かせるよ。
愛情という。愛情の深さ、情の深い人
だったんでしょうねえ。あああ昭和臭い!

そんな真樹さんの情の深さのエピソード
千葉の少年院から出て来たとき彼は二十歳
当時付き合っていた女性がなんと39歳。
その年の差なんと19歳でしかも女が上だよ。
その場限りの遊びなのかと読み飛ばしていた
その他にも女性関係は派手やかだったみたいだし
と、稿がすすんで真ん中辺りで
その女性昌子がひょっこり登場する。
まだ続いているのだ。店も持たせている。
その頃、真樹さんは40歳ぐらい。41歳としよう。
昌子は60歳だよ。
正式に結婚したかは先を読んでないのでわからない
けれども、これって凄いよね。
これだけで万歳だわ。どんな演説より凄い。
51歳だと70歳なんだぞ。
わたしは55歳だから74歳となる。
三木武吉もぶっ飛ぶね。

わたしではとても語りきれないので
真樹日佐夫語録から
http://www.aurora.dti.ne.jp/~bon/goroku.html

昭和の臭いに酔ってしまいそうだ。