あかんたれブルース

継続はチカラかな

三人寄れば恐ろしい



BSでアカデミー賞特集を組んでいて
スパルタカス』をついつい観てしまった。
コレ以前観たはずなのですが
まったく記憶と違う。
何と勘違いしているのでしょう?
主演のカーク・ダグラスで検索しても
該当するような作品は出てこない。
引っかかるのですが、まあしょうがない。

で、この『スパルタカス』いろいろ揉めた
作品のようですが、なかなか良かった。
三回ぐらいうるうるしちゃった。
最近涙線が弱いんだよなあ。
『エルシド』でも泣いたし。

この作品に関わったスタッフ、キャストが凄い。
アンソニー・マンスタンリー・キューブリック
脚本は赤狩りで追放されたダルトン・トランボ
『ジョニーは戦場へ行った』 の原作脚本監督です。
実は『ローマの休日』の執筆者でもあったとか。
共演は英国シェークスピア劇の
名優ローレンス・オリヴィエ
ビビアン・リーは彼を追って渡米し
風と共に去りぬ』のヒロインに抜擢される
ただしオリヴィエにはフラレて破滅へ
罪な男だ。
そして怪物のような役者チャールズ・ロートン
の脂っぽい演技には脱帽!
『バイキング』で共演したトニー・カーティス
決闘シーンはこっちが上かな。
わたしの大好きだったジーン・シモンズ
いまいち美しく撮れてなかったのが残念。
彼女の作品では『野郎どもと女たち』が最高。

こういったスタッフ・キャストを集めた
製作・主演のダグラスの苦労も大変だった
ことでしょう。

人が集まると難しい。

作品自体には感動したのですが
とは別に、興奮したのが
前半ダグラスが憎たらしい教官を
スープ鍋に突っ込んで殺害する場面。
この感覚って『人間の条件』で
梶(仲代)が古参兵に銃口を向けたときと同じ。
やれ!やれ!
とまるでボクシングに興奮してるような
自分の中の血の気の多い野蛮性を痛感させられる。
髪の毛あったら毛が逆立っていたよ(笑)
ここまでの興奮は仁侠映画にもなかった。
しいていえば『仁義なき戦い代理戦争』で
文太が加藤武を締め上げる場面ぐらいでしょうか。

ど根性ガエル』の主題歌に
♪泣いて笑って喧嘩して
というのがありますが、(喜怒哀楽ね)
映画の泣きや笑いの他にこういう頭に血がおぼり
その欲求を見事完結してくれたときの快感
ってあるんだよなあ、としみじみ。
世の中は理不尽なことが多いからねえ

ただ、映画でアクションとか乱闘とか
殺戮殺害のシチュエーションは実に多い
というか茶飯事です。
が、そこまで興奮するものは希だ。
そこがツボなんでしょうねえ。
池波さんの『鬼平』の魅力もそんなところに
あるのかも。
と同時に、
比較的冷静な、冷静でありたい自分なのに
こういう激情があることを
恐ろしく感じてしまう。

人間っていうのが一番恐ろしい。