安寿とトラウマと繊細な僕
昨日BSで安寿と厨子王をやってました。
溝口作品の『山椒大夫』だ。
山椒魚が蛙をあなぐらに閉じ込めたんじゃない。
それは井伏鱒二の『山椒魚』で
こちらは民話を森鴎外が小説にしたもの。
奴隷、いじめ虐待の恐くて哀しい物語。
『山椒魚』も閉所恐怖症には怖いけどね。
わたしがこの安寿と厨子王の『山椒大夫』を
観たのは幼稚園の頃でした。
昼間、テレビでやっていた。
幼心にも強烈な印象を与えられたんですね。
50年以上経っても憶えているもんな。
チャコちゃんシリーズでも
タイムスリップして(実は夢)
水運び石運びの奴隷にされるお話があった。
マジ怖かった。
日本にも奴隷制度があった時代。
杉本苑子の短編にある奴隷の話を
まるで怪談噺のように
震えて読んだものです。桑原桑原
この『山椒大夫』=安寿と厨子王の
トラウマとでもいえる印象をさらに強くしたのが
その合間に流れたチーズのCMでした。
実に美味そうに食べているのだ。
園児は哀しい物語が終わるとそれを払拭するように
近くの雑貨屋に走りました。
感傷よりも食欲と好奇心が勝ったのさ。
が、昭和30年代末のド田舎にチーズなんか置いてない。
と、それがあったのだ。
しかも10円だという。
花組みけんちゃんでも買えるお手頃値段だ。
それを買って、家で包丁で切って
爪楊枝に刺して、CMと同じように食った。
「おいしい」とCMのおっちゃんは満面の笑顔
だったけど子供にはわかりません。
もう一切れ食べたけど・・・美味しくない。
三切れめの途中で気分が悪くなって
家から外に出てドブにしゃがんでゲロゲロ。
要はチーズではなくバターだったわけだ。
罰があたんたんだね。
おかげで成人するまでバターとかマーガリンを
受け付けない子供でした。
貧乏臭い話だねえ。
それが安寿と厨子王と重なっているわけだ。
だから飲み屋でレーズンバターが出ると
ちょっと躊躇ってしまう。
可哀想な安寿を思い出すのかもしれません。
違うなあ・・・
馬鹿にするなよ
『フレンチキス』でもメグ・ライアンは
チーズでゲロゲロだったじゃないか。
ルイちゃんちのハスキーは安寿といいます。
飼い主はバターが大好物でそのままかじるとか
信じられない。
ワイルドというか・・・誰だそれ?
俺は昔から油っぽいものはゲロゲロさ。
最近はアイスクリームでも下痢するぞ。
どんなもんだい。