あかんたれブルース

継続はチカラかな

生徒はオモチャじゃない



一年前、息子は部員満場一致で
キャプテンに選出されました。
副キャプテンは親友の染谷君です。
部長は通常女子部員から選出されるのですが
近藤春菜はちょっと難があって
マネージャーの架純ちゃんに決まったそうです。

そのことで息子はうかない顔をしていた。
自分はキャプテンに向かない。
それよりも染谷君のほうが適任だと。
息子は中学時代もキャプテンだった。
自分は染谷君ほどきっちりしきれない
というのです。

よくいえば謙虚ですが
消極的というか母親としてはそれが歯痒い。
凡庸なのだ。
闘争心に欠けるというやつです。
ま、そのへんがわたしは好きですけどね。
息子よ、それじゃあ雌はゲットできないぞ。
できたとしても一生尻に引かれて道明寺
リリーズの好きよ好きよキャプテン♪
を歌って聞かせましたが
なんのことやら(笑)。

ここで男親としてキメねば
「あのさあ、キャプテンとかリーダーって
 とかく損な役回りで、率先してみんなを
 まとめて、引っ張っていかなければならない。
 しんどいと思うよ。
 でもね、そういうのは資質だけでやれる
 というものでもない。
 そういうのは訓練みたいなものでさ
 せっかくそういう場を与えられたのだから
 やってみたらいい経験になると思うよ。
 決して損にはならないと思う。
 だから、上手くやろうとか思わないで
 失敗してもいいから自分なりに一生懸命に
 取り組んでみたらいいんじゃないの」

その言葉が効いたどうかはわかりませんが
息子はキャプテンをひき受けたわけです。
こうして新生剣道部はスタートしました。

そこから夏まで、
二年生一年生の新生剣道部は躍進を遂げた。
夏の大会では開高以来初のベスト8まで進んだ。
その間に息子は春の個人戦二回戦で
破れたとはいえ都内有名私学で全国優勝したA君との
延長18分に及ぶ死闘を繰り広げ
場内を感動の渦にまきこんだものでした。
その試合は「H校のK君すごい!」と
ツイッターでもリアルタイムで話題となった。

こういったことで顧問教師も学校も
色気が出たんでしょうねえ。
強化のためにと部活の予算もアップされ
練習は益々ハードになっていったようです。
キャプテンの重責は益々重くなる。
それを副キャプテンの染谷君と
マネージャーの架純ちゃんがサポートしてくれた。

ところが・・・
その好調のピークを8月として
それからの成績が芳しくない。
チームもそして息子自身も伸び悩んでしまう。
そのことに息子が気づいたのは10月頃だった。
春にはまったく問題にしなかった相手チームにも
追いつかれているのです。
他校が強くなったのか?
いや自分達が弱くなったというか
まったく成長していない。というのが正しいと。
こんなに練習しているのに?
そのことで指導のあり方に疑問を感じたのです。

たとえば、日比谷高校などは
練習にメリハリがついている。
対して自分達は延々とハードでそれが単調すぎる。
その差が量ではなく質として現れているんじゃないか。
それがこの結果を招いているのではないか。
けれどもそれを顧問教師には言えないわけです。
剣道では指導者には絶対という不文律がある。
なんたって「俺様の指導」には自信をもってる人だから。

12月になっても、年が明けても
練習はさらにハードになりましたが
成績はまよくはならなかった。
顧問先生は上級生(二年生)が弛んでいるからだ
といいます。
なかでもキャプテンである息子と
副キャプテンの染谷君への風当たりは強い。
まるでサラリーマン世界の中間管理職
みたいなものです。ご難なことだ(汗)

自分の指導がうまくいっていないのは
二年生(現三年生)のせいで
そこからキャプテン、副キャプテンのせいだと。
一年生と二年生の扱いの差は露骨になっていった。

今年二月になると新一年生(当時はまだ中三)
の生徒が参加して、新三年生はますます
スポイルされていきます。
強くなるためにとスポーツ推薦の基準値を下回る
有望選手が二年、一年に入って
それを主軸とする構想が固まっていたようです。
当然そういう扱いに三年生やマネージャー
そしてその保護者たちの間にも不満が募る。
不公平じゃないかと。露骨なえこ贔屓ってやつ。
上級生と下級生の間に体温さが生まれていきました。

その指導はおもちゃに飽きた子供が
新しいおもちゃに夢中になるようなもので
無責任なものではないか。
試合に勝てないのは三年のせいだと。
それがお前達の実力だという。
調子が落ちてるからレギュラーから外すのは当然だと。
指導という名の懲罰で練習に参加させない。
その前後半5時間半のなかで素振り合計3万回。
「そんなの馬鹿正直にやってたのか!」
と呆れてしまったものです。
その間の暴言、パワハラは想像を絶しました。
精神的にも肉体的にもボロボロなのです。
調子を崩したんじゃない。
崩されてしまったのだ。
そして息子はキャプテンをおろされてしまう。
今度は代行の副キャプテンの染谷君が
ターゲットにされていきます。
追い込まれてた彼は退部を宣言して
部活動を休みました。

それ以前の保護者会で彼の母親は
その理不尽を訴えたことがあったのですが
それを覆えされ号泣した事件もあった。
その母親に顧問教師は電話した。
どういう説得をされたのか知りませんが
翌日、染谷君は部活を再会します。
親は、親で
子供は子供で
ある種の弱みを握られている。
あとすこし我慢すれば・・・
まったく狡猾な手口だ。