あかんたれブルース

継続はチカラかな

川崎の天使に乾杯!

Aさんのお話(3)


焼けてしまった簡易宿泊所はもう四代も
続いてるそうです。
当代の息子さんと孫娘もなぜかあそこに
住んでいたんだとか。
一棟に70部屋、一日2000円で月に6万円
つまり一棟で月々420万も入る計算だ。
なのになんで中学の孫娘が?

Aさんはここの孫娘をそれは可愛がっていたようで
火事のとき彼女の安否をえらく気にもんでいた。
幸い親子共々無事だったのでよかったと。

「子供って可愛いねえ」
Aさんは子供が好きなのだ。でも、
「うちは子供ができなかったんだ」とぽつり

なんかせつない

「でも姪っ子がいるんだ」

Aさんには姪がいるようです。
どんな事情だったかは知らないけれど
Aさんは一時期この姪御さんと一緒に住んでた
時期があったそうです。
なんとマンションまで買ってやったとか。
やがて姪御さんが結婚して
その旦那と一緒に暮らすようになる。
いい話だなあ・・・

ところが、
この旦那がAさんと生活の時間が合わないからと
出て行ってくれっていわれて
Aさん追い出されたんだってさ。
(出て行くのはお前達のほうだろうがああ!)

それからなのかな
Aさんがあのドヤに住みだしたのは
十数年だっていってましたからねえ。
でもさ、そのことをAさんは
ひとつも恨みがましく思ってないようです。
まったく。

あの火事の後、Aさんは眠れない夜が続き
思わず朝の6時半に姪っ子の所へ電話したそうです。
そしたら姪っ子の子供に速攻で電話切られた。
朝っぱらだったからな
とAさんは笑っていたってさ。

なんなんだこの人は!

Aさんが
奥さんに二度も逃げられたのは
きっとこのせいで
それでも三度も復縁したのも
このせいなんだろうなあ・・・

この爺さんは天使のようだ。
きっとあなたの背中には翼があるんだね。
そして誰よりも幸せな人である。

「ありがとうすっきりしたよ。
 さあて、これからパチスロ行くんだ」

とAさんは軽い足取りで行っちゃった。

川崎あたりのパチ屋でスロットしてる
背中に白い翼のある爺がいたら
それがAさんだ。

そこに愛が泉のように溢れている。
Aさんは幸せと豊かさに満ち溢れて
スロットをまわしている。


いるんだね。

いるんだよ。