あかんたれブルース

継続はチカラかな

タフガイと優男のフェロモン



昨日、BSで『北の帝王』を観ただよ。
男っぽい映画でねえ
男、男、男!の世界でした。
主演は伝説のホーボー(北の帝王)を
リー・マーヴィン
それを阻止する鬼車掌をアーネスト・ボーグナイン
もうこれだけで男の体臭プンプンだ。
若いはねっかえりをキース・キャラダインが演じてた。

公開は1973年。
この作品は実は未観だったのですが
当時の映画雑誌「ロードショー」での紹介ページで
ハンマーを握ったボーグナインの不敵な面構え
強烈でした(汗)
夜便所にいけなくなるくらい(怖)
アメリカにもナマハゲがいるんだな、と(笑)

作品としてはアメリカ映画でよく描かれる
「父性」がテーマとして敷かれていた。
『赤い河』みたいなものかな。
つまりリー・マーヴィンキース・キャラダイン
関係がそれにあたるわけで師弟関係でもある。
マカロニウエスタンだったら『怒りの荒野』かな

ところが、このキースがデキが悪い。
西部劇でいうキッドというか
言動が 言>動 なのだ。行動が伴わない。
一見冷たいようなリー・マーヴィン
彼を一人前にしようとしますが
ラストは愛想を尽かしてしまう。
このあたりが実に良い味わいと深みでした。

対して敵役のボーグナイン
マーヴィンとの死闘の末、列車から転落
それでも「俺はくたばっちゃいねえ」の叫びには
敵ながら天晴れのタフガイぶり。
まさに二大悪役スターの横綱相撲だった。

そのぶんキース・キャラダインが損な役回り
みたいなのですが
わたしはこの役者大好きなのだ。
父親はジョン・キャラダイン
ほら『駅馬車』の西部の騎士ハトフィールドだよ。
その息子はキースの他にデビッド、ロバートといて
混乱しちゃう!

でもね、このキースが
ナスターシャ・キンスキーの『マリアの恋人』で
歌って奏でたシーンは圧巻だった。
この予告編にすこし入ってるのかな
https://www.youtube.com/watch?v=inku3K61fIE
あれは『ショコラ』のジョニー・デップ
匹敵したのではないでしょうか。
オンナってこういうのに実に弱いはずだよ。

ともかく、この『北の帝王』での
キースはかっちょわるい役回りだったけれど
好演したと思います。
実にセクシーな男優だ。

おっと主演のリー・マーヴィンを忘れてるね。
悪役専門の俳優だった。日本でいえば室田日出男
山形勲かなあ?
若い頃米国メンズファッション誌の広告の
ポートレートでラフなジャケット姿に
ネクタイをひっこたっこに結んだマーヴィンを
目撃してシビレたね。
かっちょいい!超セクシーなのだ。
この色気はなんなんだろうか。

さて、この『北の帝王』のラストで
マーヴィンが不肖の息子キースに捧げた
父性のメッセージは男としてズシンと響きます。
それはジョン・ウエインのそれよりはるかに
重みがあった。

アメリカ映画って家族の絆ばかりじゃないんだな。
腑抜けてしまった日本男児
マーヴィンの言葉を噛み締めようじゃないか。

エース・ナンバーワン