あかんたれブルース

継続はチカラかな

俺を泣かすな越冬つばめ

考える葦(2)葦の髄から天丼をのぞく


以前、Jがこんなことをもらしました。
電車で向かいの席のカップルがラブラブで
オーラーに包まれていたというのです。
二人の世界には他者が入りこめない結界が
あったんでしょうねえ。
それをJは羨ましく思ったと。
わたしもちょうど同じ頃に地元駅のホームで
遭遇したものだった。
終電にはまだ間のある午後の23時頃
通過待ちで停車中の我孫子行き常磐線
人の流れをさいぎるように見つめあう二人。
羨ましかった。

そういう頃もあったけどね。

恋の病の特効薬をノーベル賞としましたが
できれば醒ますんじゃなくて
そのまま熱病のもままで死ねたら、幸せだよなあ
そんなこと言ったら市民団体に叱られそう(汗)

前回、人間の特性を、過剰と惰性と比較(的思考)
としましたが、もうひとつ飽きるというのがある。
それとも惰性の延長線上にあるのかしらん?

そんなラブラブの熱狂耐久電池の消費期間は
2年から4年だそうです。
なかにはひと夏で終わるのもありますけどね。
バッタ物にはご用心。
思い過ごしも恋のうち勘違いだってある。
できれば盲目のままの春琴抄で永遠の愛に
浸っていたいものだとは思わんか。
「そんなの無理」と人は言う。

そんな風潮に逆らうように
以前千昌夫の『星影のワルツ』
♪別れることはつらいけど
 仕方がないんだ君のたあめ~え
に噛み付いたものでした。

先月だったか、トリックスターさんが
ローマの休日』の記事をアップしてた。
まさに不滅の名作だ。
20世紀のベスト3に入るのではないかと。

若い頃、中坊のときに
こういう大人の恋に憧れたものです。
俺もいつかペックのようにボギーのように成りたい。
志賀勝じゃなくて
ハメット演じるジェイソン・ロバーズのように。
誰が山本晋也だバカJ!

おっと『ローマの休日』でした。
このロマンチックラブコメディーのラストは
ハッピーエンドではありません。
王女と新聞記者の甘く切ない恋は
それぞれの立場、宿命の前にピリオドを打つ。
そのことを再度思い返したみたときに
千昌夫の星影には噛み付けたけど
この永遠の愛のホリデーには歯がたたなかった。

愛する二人を包むベールは
無償の愛と自己愛で織り込まれている。
それは繊細ではかないもので
力で支配しようとすれば綻びが生まれ
千切れてしまう。
愛されることよりも
愛することの歓びでしか
それを永遠に保つことはできない。
それを体得できたものだけが
それを手に入れられるのだ。

真心を君に
俺を泣かすな越冬つばめ
幸福な王子の傍らで死んだつばめの話は
決して悲劇ではない。だろっ、オスカー・ワイルド