あかんたれブルース

継続はチカラかな

巨人と玩具に呆然と目がテン



BSで『巨人と玩具』を観ちゃいまして
気が変になりそうでした(汗)
開高健の原作で1958年の増村保造作品
菓子メーカー宣伝広告業界の実態をえぐるという趣向。
当時の風俗をみるには面白いのですが
なんせ芝居も演出もベタすぎて(汗)
当時の観客も特に地方の日本人もびっくりしたこと
でしょうが、現代人のわたしだってビックリどーん
♪どこどんどこん夜が来た
とか、♪ワールドキャラメルわっわっわ
劇中の変なCMソングが耳についてまだ離れない。
気が狂いそうです。
だいたいが増村保造とは肌があわないんだよなあ

社会派ドラマねえ・・・
開高健は御存知サントリーの宣伝部出身。
広告の黄金時代を肌で知ってる人なのですが
そんな開高がこの作品を試写で観て
どのように感じただろうか

主人公は猪突猛進の大学ラグビー部出身
それは暑苦しい熱血青年企業内広告マン
その上司は冷酷冷徹な企業戦士
とにかくベタなのだ。
出てくる登場人物すべてがベタベタで濃厚。
作品を象徴する回る電飾広告塔
ああいうのあったよねえ
当時テレビ『奥様は魔女』のスポンサーが
味の素でしたがそのオープニングの冠CM
♪お椀お椀お椀のマーク味味味の素
にあわせて
味の素の大きな光る電飾が回っていた(実写)
ナショナルもブラザーもみんな回っていたような
時代だよねえ

ただ、劇中の台詞のなかにあった
「現代の人間は赤ん坊以下です、犬以下です。
 彼らは考えないからです。昼間は奴隷のように働き、
 夜は酔っぱらうか麻雀かパチンコ、出なければ
 ラジオを聴くかテレビを眺めるかです。
 頭の中は空っぽです。
 この空っぽの頭の中に我々は繰り返し繰り返し
 たたき込むんです。
 おいしいキャラメル、栄養のあるキャラメル、
 そうすれば彼らは自然と手を出す。
 マスコミは全てを強制できるんです!」

これには半世紀経った現代に照らし合わせえて
麻雀こそ廃れてしまいましたがそこを
ケータイとかスマホ(ネット)を当てはめれば
まさにその通りではないのか
キャラメルには手は出さないとしても
頭の中はからっぽでテレビは一億総白痴化して
ネットがさらにそれを暴徒化させて
今日もどこかで大炎上!

けれどもノスタルジックは横においても
せめて『白い巨頭』とか『赤線地帯』の
凄みが欲しかったなあ
社会派ドラマであるならば

これじゃあ深作の怪作『黒蜥蜴』と同列か
いやそれじゃあ深作に失礼かも
とんでもない喧騒のカオス的問題作です。
オバケ屋敷気分を味わいたい物好きだったら
是非どうぞ。
それはそれで楽しめるやもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=FEzRWZ8kA3g

どどんどんどんどこどん

なんか世の中舐めてるんじゃないか?
キャラメルだけに(汗)

そういえば野添ひとみって
主役の川口浩の嫁さんだったんですよね