サチコの縁談(12)
決行の日
その朝、サチコから電話がはいった。
最初は母親の介護の件をいくつか相談しててたのですが
「ちょっと今いい?」とサチコ改まった口調。
来たな、と馬太郎ぐっと鯉口を切る。
この間の権蔵さんの件、あれ見合いだったんだよねえ?
えっ、ああ、そうだよ(汗)
ワタシはさ正直結婚とか興味ないしまったく考えたことなかったの。この間はアンテナと瓦修理でお世話になったこともあって兄ちゃんとタッキーさんの顔を立てるつもりで出席したの。「うん分かってるよ」
会ってみたらやっぱりオジサンだなあとは思ったけれど大人しそうで優しそうな人だった。何より父ちゃんと同じ機関長だってところが興味を引いてもっと船の話を聞きたかった。だけどその後、兄ちゃんはどうだったとか何も聞かない。もしかして最初の印象と比べてワタシが急に太ったから幻滅してそれとなく断りを入れてきたのかなあと思った。
「そんなことないよ。そっちがオフクロみたいにメンクイだと即断られるとマズイと思って」
ワタシはメンクイじゃない!
「そうだったねそうだった」
だから戻ってすぐに権蔵さんから野菜の贈り物が届いたときは意外だったし驚いた。しかも中身はヘチマとかワタの欲しかったものばかり。「それはよかった」
だから御礼の電話を入れたんだけど何度コールしても出ない。留守なのかなあ忙しいのかなあ。何度かけてもだよ。普通さあ何度もかけたら着信履歴をみてかけ直してくるよね。結局その日も翌日もまったくナシ。どうなってるの?と呆れてあきらめたよ。でもこれで最後と翌日の夜10時頃かけたらやっと出たの。それがさあツッケンドンで愛想もなんにもなくてこっちが何かいってもハアハアと気のない返事。変な人だなあと正直思ったよ。
くそおおお、権蔵め
この馬鹿なにをしてるんだ。知らなかった。
でここからはサチコの言い分言い訳苦情などなどで
要は老後資金もあるし何を今さら結婚なんて
これっぽっちも考えてない。ましてやあんな変な人とと付け加えた。
(権蔵100%君が悪いぞ)
しかし後の祭、
やっちまったことをどうこういっても始まらない。
だって権蔵はタッキーと向かっている頃です。
これは玉砕の確率高いなあ~(涙)
間に合うか、わたしゃタッキーの携帯にSOS!
「だめだ権蔵がカクカクシカジカ」
「ぐわっははははは腹が痛い痛テテテ」
「笑い事じゃないぞ」
「ここは正攻法に正面から
結婚を前提につき会ってください。しかないんじゃない」
「だよねええ」
そんなわけで
タッキー&権蔵の決死隊がバンジージャンプしました。
結果を待つ馬太郎