もうひとりは海軍から島村速雄の登場!
我が子の無事を祈り縁起を担ぐ、母・鹿子を気遣い、その手紙の封筒には
「のし」「めで度」「つるかめ」と書き添える島村はマザコンじゃないですよ。
日本海軍の至宝、天才作戦家と謳われた連合艦隊参謀長。
しかし、彼は極端に自分の功績を表に出さない人でもあります。
どころか、旅順港閉塞作戦、黄海海戦の失敗や戦艦の機雷事故などの
責任を一身に被って自ら左遷人事を発動するから吃驚仰天。
「後任は加藤友三郎が適任です。じゃあ」と表舞台から自己退出。
彼の能力と比べれば我々のそれは10分1あるかないか。
それなのに日々の生活仕事にイライラガミガミ、その優先順位を選択に血管爆発寸前。
そのとき島村の大音声が響きます。場所は戦場、作戦まっただ中。
敵将マカロフ提督を追いつめようと焦る秋山真之参謀が
負傷兵収容作業中に追撃に奔ろうとするした、その時、
「待て!瀕死の戦傷者をうち捨てて行くとは何事ぞ、
とにかく作業を続行せんか」
やれグローバルスタンダード、やれ数字がすべて、四半期決算、上がってなんぼ、
事業計画書にオンデマンド、コンセプトだのイメージ戦略プレゼン、オリエン、、、。
いったい、その優先順位とは?費用対幸せの効果は大丈夫なのか。と
こちらも酒はウワバミで呑めば呑むほど陽気に朗らか。隣で加藤がゲロしてます。
それでも、いざとなったら頼れるのが島村速雄。
バルチック艦隊が日本海か太平洋かで
迷いに迷う連合艦隊司令部へカッターで乗り継いだ!ずぶ濡れでの島村速雄だ。
「敵に海戦というものを知っている提督が
一人でもいるならば、必ず、対馬を通る」
その姿を天才作戦家・秋山真之は震えながら凝視するのでした。
そして、日本海海戦の勝利の瞬間。
ただ一隻、逃走に成功する敵艦「イズムルード」への追撃を
「まあまあ、武士の情け」と見逃す島村。
その勝利の知らせを妻と母に伝える手紙には
「敵艦の乗船員230余名を救出候、母上様のお喜びなされ候事と存じ候間、
お話下さるべく候」島村速雄!素敵だ。決してマザコンじゃないよ。