手元に資料がないのでアレですが、十年ほど前のダービーで
「アサキチ」なる馬が穴人気になりました。
馬券には絡みませんでしたが好走したように記憶します。その後、重賞勝ったような?
この「アサキチ」とは勝新太郎の人気シリーズ『悪名』の主人公・朝吉からのもの。
「座頭市」「兵隊やくざ」と並ぶ人気シリーズです。
『悪名』は今東光の『河内風土記』が原作オリジナルであります。
実際はそこから『悪名』(未読)という朝吉だけをピックアップしたものがあるようですが、
一次ソースとしての『河内風土記』こそ映画『悪名』の原作と考えても無理はないかと。
今東光は天台宗の偉いお坊様で瀬戸内寂聴はその弟子にあたります。
昔、週間プレーボーイの若者人生相談で柴田練三郎の「円月説法」なる連載がありましたが、
その前が今東光だったようです。残念ながら私は読んだ記憶がありません。
大阪府八尾市中野の住職になったことから、その周辺の取材をもとに、
いわゆる「河内もの」と言われる作品のひとつがこれです。
取材ソースが檀家というのも泣かせますね。
全六巻でしたか?読み切り短編の連作もので、一編一編が珠玉の傑作名作。
ちょっとネットで検索したところ『悪名』シリーズ以外で映画化されたものは、
『河内風土記おいろけ説法』『河内風土記続おいろけ説法』『河内風土記おいろけ繁盛記』
とほほ、なんか怪しくなってきましたね。
だけど、一編一編が珠玉の傑作名作。には変わりありません!胸を張って主張できる。
この坊主、たんなる破戒僧生臭坊主じゃあない。
舞台は昭和30年代~40年代の八尾周辺の人々の赤裸々な日常茶飯事を描いたもの。
ただ、私たちがそれを読むと「非日常」であり、超デンジャラスであり、
これ本当に日本人なの?と眉に唾をつけながら頁をめくること、間違いない。
とことん助平で「蛸」が好き丼勘定皮算用。猥雑御下劣阿鼻叫喚抱腹絶倒そして涙、、、。
大阪人恐るべし。
あまりの怪作に読み飛ばすのが勿体なくて、最後の一巻は封印、早、5年。
今年のお盆には赤坂図書館で法要したいと存じます。
絶版本ですから図書館でしか読めませんが、機会があったら絶対おすすめ!
(本の画像が用意できなかったのでスチールとパッケージで御免なさい)
第一編の「闘鶏」の話から読者の心臓を鷲掴みする迫力!は満点の星空。
二人の姉妹の数奇な運命やかわいそうな山伏の顛末。色惚け銭惚けの人間模様などなど
冥土のみやげに是非どうぞ。