あかんたれブルース

継続はチカラかな

日本近代史に暗躍した突然変異的怪人の素性

イメージ 1

 これが、若き日の杉山茂丸です。なかなかの男前でしょ、眼光もするどい。
 息子の夢野久作に比べると段違いですね。久作がファザコンに陥るのも理解できるはず。
 杉山家は黒田藩での家格は中の若干上ですが幼い頃から黒田候の太刀持ち小姓でして、
 「茂丸」という名は特に藩主黒田長溥候から拝命したもの。
 長州の井上馨の「聞多」みたいな感じですね。

 この福岡黒田藩は九州を代表する雄藩。人材逸材豊富で薩長の勇士も此処に勉強に訪れていました。
 が、雄藩には雄藩なりの事情があって、佐幕か勤王かと藩内は分裂、その度の政争で切腹者続出。
 杉山の上の世代である頭山満の上の世代は遂に人材が底をついてしまいます。

 こんな具合なものですから倒幕で動き出した薩長連合の動きに対応を遅らせてしまいます。
 最終的には薩長側に付くのですが、タイミングが遅く冷や飯を食わされてしまいます。
 戊辰戦争の戦費捻出でかなりの無理があり、それを当時流行の偽札作りでなんとかしようする。
 それが政府にばれてしまって万事休す。福岡藩は新生明治政府への参画資格を失います。
 そして、明治到来から杉山家も禄を失い貧窮の一途をたどるのでした。

 この十字架によって、金子堅太郎、団琢磨頭山満玄洋社のメンバー、明石元二郎
 杉山茂丸などの黒田藩士は青雲の王道から外れたスタートを余儀なくされるのであります。

 では、この杉山茂丸とは何をやったか?やらかした人間なのか?

 ●単身、時の総理・伊藤博文を訪ね、暗殺しようとした男
 ●それがきっかけで政府財界の要人の知遇を獲て、彼らを人形のように操った魔人
 ●日本興業銀行を米国財閥の資金によって設立させようとした巨人
 ●三菱・三井の海運事業を合併させて後方連合艦隊を構築させた策士
 ●日露戦争児玉源太郎桂太郎の三人で作った秘密結社で押し進めた黒幕
 ●児玉と後藤新平の台湾・満州経営のフォクサー

 これが明治・大正・昭和の日本近代史に暗躍した杉山茂丸の足跡の一部です。