私は「修羅場に強い」と自分自身に言い聞かせています。
仕事の関係か、複雑な家庭環境か、はたまた性格なのでしょうか、
幸か不幸か私は多くの「修羅場」を体験してきました。
このブログで過去に「幸せは個人的なもので不幸との乖離の中に存在する」としましたが、
当然、私の「修羅場」も私個人の感覚なのかもしれませんし、
世の中には想像を絶する「修羅場」が存在し、その火中にある人達も多数いるはずです。
最近の社会問題として、育児・子育てや親の虐待、アトピーなど子供の病気などの
報道に接するとき、それぞれの「修羅場」を想像します。
この『震える舌』は松竹の野村芳太郎・橋本忍コンビの作品。
松本清張作品の『砂の器』『鬼畜』など社会派シリーズの名作傑作で有名ですね。
その意味で『震える舌』は相当なインパクトがありますが、それが故に、オカルト作品という
不当な位置づけにある作品であり、DVD主体になりつつあるレンタルビデオ店でも
風前の灯火、佐渡の朱鷺のような存在。いまなら間に合うかと急遽思い立っての書き込みです。
この映画には「修羅場」があります。
幼い子を持つ親としては「カウンターパンチ」かもしれません。
従って、大抵の方々は敬遠するかもしれませんが、できることなら観てほしい作品です。
物語は平凡な家庭を襲った「一人娘の破傷風」という厄災の記録です。
私たちの多くは「破傷風」の知識がないことから、その認知にショックを受けることでしょう。
そして、この若い夫婦の物理的な「修羅場」は展開されるのですが、
すでに、このとき、私たち観客は「傍観者」ではありえません。
修羅場の予行演習というわけではありませんが、その時の、その瞬間の、
優先順位選択の思考と整理、冷静で強かな判断力は「修羅場」だからこそ必要不可欠です。
そして、子供に対する愛情と現実との対峙の仕方、そして、幸せの確認作業として。
この作品がビデオ屋から無くなる前に、あなたの家のビデオデッキがDVD専用になる前に、
是が非でも観賞をお勧めする、要らぬお節介であります。
修羅場こそ「魂の試されるとき」これが私の座右の銘でもあります。
プレッシャーよりもワンランク手強い相手ですので、それなりの鍛錬が必要だと思います。