あかんたれブルース

継続はチカラかな

朝っぱらから極道作家・団鬼六のやさしさを語る。やっぱりB型?

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 みなさん、団鬼六という名前を聞くと「SM」「縛り」「変態」「H」と即、連想するでしょう。
 その通りです。本人もそれを認めてますし、所謂、性的障害者なのだと思います。一般的に
 私はこの団さんの信奉者のひとりで、あっ!やっぱりそうか!馬太郎本性現したな!
 この中年すけべ爺! ちょ、ちょっと待ってください。最後まで聞いて。

 団さんは確かに日本を代表する官能SM作家ですが、そのデビュー作は経済小説がスタートで、
 途中からSM作家となり今日に至ります。
 その文章の上手さは当代随一の手練れなのです。(山田風太郎に匹敵。司馬、塩野七生とは異質)
 彼の膨大な作品群のなかには本格的なルポルタージュ物や歴史物、自伝といった真面目な作品
 (SM物が不真面目というわけではなく、いや、私は読んだことがないので分かりませんが)
 があってですね。是非、機会があったら読んで頂きたいと思いまして、
 誤解されると厄介なのですが、敢えて紹介させてください。

 だいたい幻冬舎アウトロー文庫で揃っていますので、入手は比較的楽だと思います。
 まず、第一に『蛇の道は』 ほらやっぱりHじゃないか。
 ち、違いますよ。これは彼の半生を描いた自叙伝であります。
 相場狂いの父、プロの将棋士を目指して挫折、文筆家としての成功と即失敗、隠棲と結婚、
 官能小説と教師の二足の草鞋などなど、彼の破天荒な人生とペーソスに彩られた傑作です。
 とにかく、これだけでも読んでみてください。私が団さんを尊敬するわけが理解できるはずです。
 笑います。そして、切なくて切なくて、メソメソ泣きます。
 気のいい女「谷ナオミ」や愛おしい「タコ八郎」
 そして、心やさしい団鬼六先生。
 いったいこのヒトを単なる変態と片付けていいのか!? 読め!

 二本目は『真剣師・小島重明』
 「新宿の殺し屋」の異名をとる真剣師(賭将棋)小島重明のこれまた切ない実話。
 将棋以外はまったくダメ。それも賭将棋でなければ実力を発揮できない。
 日本の将棋界から拒絶されるなかで団先生だけが唯一の理解者。
 団鬼六の優しさとジレンマ、ああ、運命とはかくも過酷なのか! 
 泣ける。とにかく、泣けます。

 三本目は『外道の群れ―責め絵師・伊藤晴雨伝』
 この辺がボーダーラインぎりぎりでしょうか。
 美少女兼代(お葉)をめぐり、大正美人画家・竹久夢二と対決、そして破れる伊藤晴雨
 天才的な才能に恵まれながら、それ故に不器用な晴雨の哀しい挽歌を巨匠団鬼六が綴ります。

 以上、三点。団鬼六未読でしたら、是非、無理にでもお勧めです!
 団さんの「やさしさ」癒されてください。決してビジネスツールにはないませんが、
 「やさしさ」は無力ではないことを立証できる作品であり、団鬼六という人間味溢れる
 大クリエーターの神と世間への挑戦(団さん本人は決してそんなことは考えていない)!
 なにが数字だ、なにがグローバルスタンダードだ、ヒルズ族や日銀アホ総裁の寝言より
 団鬼六の愛の奔走に永久の福音あり。ああ、書いてて思いだして泣けてきたよ。