二十歳くらいの頃、松岡正剛とタモリの対談をまとめた本を読みました。
その中でいまだに印象に残っているのが「障害者」についての件。
メキシコで障害者が生まれると周囲から祝福され羨ましがられる
「この子はプロレスラーとして一生食いっパグレはない」と
リオのカーニバルでは障害者も踊り狂ってパレードに参加している。
松葉杖をついた者が転べば、みんなゲラゲラ笑い転げる。転んだ障害者もゲラゲラ笑って
その松葉杖で笑っている者の足を引っかけて転ばそうとしている。
以前、書き込んだ拉致を心待ちにする福建省の村人のような話ですが、
このふたつのエピソードも私の印象に強く残っています。
私は、なぜか障害者とか差別とかに関係する仕事との巡り合わせが多いようで、
そのたびに考えさせられることが多いようです。
この『無敵のハンディキャップ』という本はそれ以上の止まり木になった作品です。
内容は障害者のプロレス団体の旗揚げから活動の顛末記です。
著者はこの障害者たちを担当していたボランティアの学生。
第20回講談社ノンフィクション賞を受賞していますが、それ以上に素晴らしい作品でした。
障害者で「ありながら」酒乱、スケベ、変態、性格が歪んでいる、ソープに通う、などなど
この「ありながら」というのは私が勝手に拵えましたが、この「ありながら」が問題です。
障害者は温厚で健全でなければならいようです。
こんなに素晴らしい作品なのに障害者を見せ物にしたとかで別な意味で問題になったようです。
私の友人だった鳩子は理想に燃える大変真面目な女性でした。
私が新宿昭和館で東映実録路線三本立てを観ているときに、
彼女は岩波ホールでインドやパキスタンの映画を観ています。
私が花村満月を読んでいるとき、彼女は男女差別や女性の社会参画などの専門書を読みます。
趣味や考えは違いますが私たちは同志で戦友でした。
そんな彼女がボランティアで水商売を?
障害者専門のスナックにボランティアっぽくアルバイトをはじめます。
最初の頃、そのことを目を輝かせて聞かされました。
一月後、彼女は既にやめていました。店の客が酒癖が悪かったのが理由です。
真面目な鳩子が酒乱になったのはそれからです。
私は彼女とはもう飲みません。