愛の十字路 第二章(4) 物理
映画『旅情』でキャンデス・ヘップバーンはうまいことを言ってました。
「私はパーティーが楽しくて、いつも時間を見失ってしまうの。
そして、気がつけばいつも一人。私は引き際をいつも見失ってしまう」
だいぶ昔に観た映画なので、台詞はうる憶えです。こんなニュアンスだったと思う。
ハイミス役の彼女が「腹八分目」の法則と「冷静のなかの狂乱」を自嘲します。
関係ないですが、パーティーには30分遅れで到着し、30分前に退却するのが粋だそうですね。
なんの話でしたっけ? ああ、愛の損得勘定でしたね。(そうだったあ?)
これのバランスが崩れるから苛まれ身もだえするって話でした。
それを「裏切り」といったりします。すこし、カッコよ過ぎな言葉ですね。
もっと、グッサっと。
「利用されてる」
でどうですか? この言葉に反応しない?
これは恋愛だけでがなく、人間関係すべてにいえる「気にする」グッサっな常套句。
私たちは「利用される」ことに非常に敏感であり危惧を隠せない。狼狽してしまう。
騙される。軽く見られ、あしらわれる。うちの娘をオモチャにしおって!(これは関係ない)
そして、「正直者はバカをみる」を恐れる。
笑顔や好意の表明は決して過ぎてはならない。コンビニでも郵便局でも。
オフィシャルならかまわない。演じているから。上手に使い分ける処世のマナー。
だけど、恋愛だったら大丈夫。私の心を開いてくれた大切なひと。
「身も心も捧げます」 が 次の瞬間には、見返りを求めます。 愛を確認するために。
恋の駆け引き。 あなたより本気になってはいけない。 この愛を守るためにも。
正直ものはバカをみる。
ゲームの達人 慎重に 冷静に 自分を見失ってはいけない。
それでも 愛から不信は生まれる。 愛の複勝コロガシ。成功率は限りなく先細り。
そして、裏切りという言葉が木霊する。たとえ、一人相撲でも。
最も信じていたかった人からの裏切りは絶望のどん底だ。
みゆき嬢が愛の非行に奔った理由もそこから。
そして、迷走し荒行のすえに達観していきました。進化だ。
あしたの愛への問いかけは脱帽! 彼女は愛の本質を見据えている。
そして、寄り添う風で結し、内なるものから外へと放たれていきます。
縦と横の糸を紡ぎ、銀の龍の背に乗って昇天。
たよりなきものの愛の特性
愛することより、愛されることを求めてしまいます。
無償など絵空事
『旅情』は1955年の作品。監督は巨匠デピッド・リーンで脚本も担当。
ハイミスのキャサリン・ヘップバーン旅先のベニスで
元祖ちょい悪正真正銘のイタリアおやじロッサノ・ブラッツイにナンパされるお話。