あかんたれブルース

継続はチカラかな

趙クンの夢と幻と野望

                   
       が  な ~              が  な ~
    め         い ~       め         い ~      
 ゆ                   ゆ 
   


 
 幸子のオフィスに呪詛のように木霊する変な福建訛りの嘆きの声

 その主はアルバイトの趙君です。
 彼はW大学交換留学生。といえば聞こえはいいですが、
 それは腰掛け程度で、正式に編入試験を受けて合格した大学の留学生となる。

 その趙君がなぜ昼間っから変な声で嘆いているのか?

 そう言えば、さっき昼休みに店長の劉さんから散々叱られていたっけ
 幸子は劉さんにその理由を聞きました。

 「アイツ、パカ ヨ」 劉さんが吐き捨てるようにいいます。

 趙君の嘆きの理由。

 趙君の父親は○●省の師範大学の教授だそうです。
 今回の日本留学に際して、学芸大学(東急東横線学芸大学下車)の
 編入試験を裏口入学すると画策して、いや唆されて、
 日本在住のコーディーネーター(中国人ブローカー)にお金を渡してあったのだとか。
 それがどうもインチキだったということを、ようやく気づいた。
 それで嘆いているようです。

 「それで、いったい いくら払ったの?」

 「5000元」 劉さんが吐き捨てるようにいいます。

 「5000元って日本円にするといくらぐらいなの?」

 「う~ん、8万円か9万円ぐらいかな」


 は、8万円で裏口入学できる学芸大学(東横線)って(汗)。

 それにしても、父親のアンフェアの手口を嘆くのではなく
 それが反古になったことを嘆く、趙君って。。。
 なんか、同情しきれない微妙な状況ですよね。

 趙君は福建省からの留学生ですが苦学生ではありません。

 日本に憧れて来日したモラトリアムな甘えっ子。実家も裕福で、
 月に一度は実家から御菓子や健康補強食品などが届く。
 ハングリー精神なんてない。しかも世間知らず。

 時々、職場から消えて繁華街で「友達になってください」と
 誰か構わず伝道しては、相手にされず、打ちひしがれて路地裏で膝を抱えている。
 その捜索と保護に奔走した回数は数え切れない。
 もしかすると、日本のお気楽学生より始末が悪いかも(汗)。

 劉さん曰く
 これも中国の一人っ子政策で親から過保護にされた現在の中国青年の
 典型的なパターンだとか。(マンガみたいですね)

 まあみんなが趙君みたいじゃないんでしょうが、
 そういった傾向が強いそうです。

 彼らが次世代の中華人民共和国を担う。
 よそ事ですが、なんかそれはそれで平和的でいいかなあ、

 と無責任に思ってしまうのであった(汗)。