情動の知性(5)コミュニケーション能力(其の四)
脳の話を少し。だけ(汗)
先日、テレビ東京の『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!』で、脳の断面図から、ある専門医がその人の能力鑑定を実演していました。
CTスキャンやPET、MRIなどの開発でこういった診断が可能になったのですね。
最近は心理学や精神医学などカウンセリングが流行っているようです。
それ以前ならば、占いなどが主流だったのでしょね。
生年月日での占星術や観相学の手相人相など。
前者は星座の配列や陰陽五行説などから、
後者は中国の春秋戦国時代に爆発的ブームになったそうですが、
統計学の域を出ないと判断させる場合が多いのが一般的です。
が、テニスをやっている人はその利き腕が他方よりも発達するように、
また肉体労働者とデスクワーカーの手の構造、また筋肉の発達の相違から、
普段使っているかいないかでその発達歴然です。
これは脳にも言えることで、その人が脳のどの部分を使っているかで、
どういった能力の秀で何を苦手にしているか判断できます。
知性をつかさどる大脳には大脳新皮質と大脳基皮核と大脳辺緑系と脳幹に分けられる。
簡単に構造を説明すると、
原始的な大脳(基皮核・辺緑系)を新皮質が覆っていると考えてください。
新皮質は知的機能を運動や感覚など各ジャンルごとに
細かい専門分野に役割をもたせて担当させています。
「喜怒哀楽」は原始的な辺緑系が情動として発し、それを心情的な感情にするのが新皮質です。
大脳新皮質のなかで情動に深く関係する前頭葉です。
新皮質が「理性の脳」だとすれば、脳幹は「本能の脳」で人間の欲をつかさどります。
性欲や食欲のことですが、これを「生きる意欲」まで高めるのが前頭葉です。
人間の脳はすべてリンクしているのですね。
番組ではその専門医が「あなたは3年目から本を読み始めましたね」とか
「あなたは聞き上手ですが、話すのは苦手ですね」とか脳の発達具合をみながらレクチャーしていました。
痴呆症などの特徴に脳の萎縮という傾向もあります。
脳の話を持ち出して何を言いたいのかと言えば、
人間の才能というものは先天的なものよりも後天的なものが勝るということです。
占星術では生年月日は替えられません。
手相や人相は変化するといいますが、目に見えるそれをなかなか私たちは把握できない。
だから、どこかで運命とか生まれ持った資質とか才能とか解釈して
あきらめてしまうものです。
しかし、脳の部分的な発達とその変化から人間の能力は先天的なものよりも、
後天的なもの方に影響が現れるという結論が導きだせます。
確かに偏差値社会ではIQの高い人たちがエリートとなっていくと考えられがちです。
ところが、ある研究チームがIQ140以上のグループを50年以上追跡調査した結果、
そこからボーベル賞級の科学者もある分野に革命を起こす業績を上げた人も皆無だったそうです。
これはそういう特別な実績を残す人たちが素晴らしいということではなく、
偏差値やIQの高い人たちが特別な業績を残せる能力ではないことを指しています。
その意味でも、
コミュニケーション能力ふくめた心の知性を高めていくことの
必要性と意義を再確認してみたいと思うのです。