笑う馬(1)
環境の違いで歳をとる速度が違うと書いた。
特に、都市部と地方を指していいたかったのではない。
幸せのなかで、溢れる愛のなかにある者と
不幸に苛まれ、愛を知らないものとの環境の格差は大きい。
男の顔は履歴書だという。
その風雪のなかで、男は自分の顔を作って往く。
「男っていいわね」
由紀子はそう言って窓の外を見つめる。(だれ?)
女にとって、若さがすべてなのだろうか。
アンチエージング。か、、、。
苦労とは、すればいいというものではない。
苦労がすっかり板につき、顔にまで出てしまう人生は不幸である。
不幸を積み重ねるではなく、日々の幸福を積み重ねることこそが、
真の人生経験なのである。
このあたりをはきちがえると、
たとえ立志伝中の人物といえども内実はひどく孤独であったり、
人格が破綻してしまったり、ただの守銭奴や、イヤな奴であったりする。
これはすでに悲劇でしかない。
(浅田次郎『絶対幸福主義』より)
人間が生きた証として刻まれるシワでさえも、
できれば、笑いジワであって欲しいよね。
たとえ、どんなにつらくても、笑いを落としどころにできる
そんな強さ優しさが欲しいものです。