嫌な奴に恋した乙女の烙印
明治人で誰が一番嫌い?と問われれば
「森鴎外!」と即座に答えます。
詳細は過去記事「森鴎外というどうしよもない権威主義者」
http://blogs.yahoo.co.jp/djkxq447/16191248.html
まあ異論もおありでしょうが、この文豪の『舞姫』での
主人公(鴎外モデル)の留学先ドイツでの恋人エリスに対する仕打ちは酷い!
と感じる読者は多いはずです。
これ、実話ベースですからね(汗)。
ところが、これには後日談がある。
鴎外が己の立身出世のために恋人を捨てて帰国した4日後、
横浜港に一人の若い娘が降り立ちました。
このアンナ・ベルタ・ルイーゼ・ヴィーゲルト(16歳)こそ『舞姫』のエリスだ!
小説が発表される1年3カ月前の1888年9月12日のことです。
それでも、エリスは追い返された。
五年後に結婚して三人の子供の母になったとか・・・。
舞姫の後日談として、男と女のドラマがあった、
越えられない二人の壁は、国境だったのか時代だったのか
いま横にいるノンちゃんの話では
郷ひろみ主演の映画『舞姫』では来日したエリスが描かれたいたそうです。
残念ながら結末は忘れたそうな(涙)
鴎外は娘を杏奴(あんぬ)、息子を類(るい)と名付けています。
忘れられぬ恋人の名は、
「アンナ」・ベルタ・「ルイ」ーゼ・ヴィーゲルト
なんてね、
後日談はまだ終わらない。
1915年、鴎外は『舞姫』のエリスとの別れのシーンに
手を入れて書き替えています。彼女の絶望の症状を表現を
「急性の起こりしブリヨートジン(失神・痴呆の意。まあパニックですわな)」
↓
「急性の起こりしパラノイア(偏執・妄想の意。まあ被害妄想ですわな)」
に、書き替えています。
鴎外とエリス(アンナ)はその後も文通を通して続いていたようですが、
その1915年までの間に、二人の間に決定的な何かが起きた。
その何らかの幻滅がこの書き換えを行った動機だと
度会好一『明治の精神異説』(岩波書店)で推理しています。
なんともはや、愛憎とはかくも甘く切なく苦々しいものか