あかんたれブルース

継続はチカラかな

『坂の上の雲』第一部放映を終えて



昨日、コメントとトラックバックしてくれたオノコロさんのブログに
お邪魔してきました。

「拡散 NHK「坂の上の雲」が、おかしい」
http://blogs.yahoo.co.jp/umayado17/60096377.html
「原作を冒涜するNHK坂の上の雲」  プロジェクトJAPANの担当 ●情報集約」
http://blogs.yahoo.co.jp/umayado17/60106590.html
「「坂の上の雲」第5話 原作もそうなのかな?」
http://blogs.yahoo.co.jp/umayado17/60108760.html


正直なところ、この手の記事は痛し痒しで贔屓の引き倒しになるのではないかと
爺にくせに老婆心の心配性の伊藤博文ようなの馬太郎でありました(汗)。
そんな心配をよそによく指摘されておった。大枠同感です。

普段、ときおりドラスティックを売り物にしている馬太郎が
自分のことを棚に上げてかくも慎重になるのかというと
近現代史にはいたるところに地雷が埋まっております。
たとえそれが正論であっても時として悪用されたり、逆効果になったりする。

その意味で、司馬遼太郎の傑作『坂の上の雲』も
捉える人の立場によって様々な解釈に変容してしまうものです。

一昨日だったかTKKさんのコメントに
「......只『坂の上の雲』は、司馬さんの遺志を尊重して、見ませんが。」
に胸が痛みました。
そう、司馬さんは『坂の上の雲』の映像化に反対されていたのです。
生前、なんどもそのアプローチはなされたが実現されなかった。
たしか、死後ようやく夫人の了承がおりて今回の放送に漕ぎ着けたのでした。
その意味で、NHKの表現には興味深くまた注意深く見守っていたものです。

それはそれでよく描いているというのが正直な感想です。
原作にない部分もそれなりの裏付けや司馬さんの他の作品(エッセーなど)から加えたものです。

ただし、オノコロさんの指摘でもあったように
第四回の「日清開戦」の子規の従軍の場面は違和感がありました。
それは自分の12月20日の記事でも紹介しましたが
http://blogs.yahoo.co.jp/djkxq447/49907266.html#49951581
森本レオだっけ?かの曹長森鴎外に語らせた台詞。
あれは原作にもないし、ないどころか不自然だ。

オノコロさんの記事のコメントに
「細かいことに目くじらを立てるのも、大人気ない感じがするのでどうかと思うけれど、」

わたしもまったく同感なのです。この「日清開戦」のこの部分だけはおかしい。

わたしは戦争を肯定するつもりは毛頭ありません。
戦争はよくない。
戦争反対でいいんだ。
だけれども、戦争反対を唱えるだけじゃダメだと思う。
なぜ、戦争が起きたのか、せざるおえなかったのか知るべきだと思う。
それが「歴史を学ぶ」という意義だと思います。

それを封印・タブーにしたり、拡大解釈して自虐懺悔の道具にしても
意味はないと、わたしは思います。痛感するし、確信している。
それでも、50歳という年齢と屁のような経験のためか
NHKという場で放映する以上なんらかの譲歩は必要なのかなと思ってしまう
自分の甘さというものも感じてはいます。
それでも、
作者の意図とは違うことを「原作」に付随させていいのだろうか?
これこそが著作権の侵害にあたらないものか?

ただでさえ、『坂の上の雲』は右にも左にも攻撃の対象とされています。
その理由として、司馬遼太郎の作品がスタンダードになった証ともいえる。
影響力があるんだよね。
たとえ、色々な意見はあったとしても司馬さんがなにを伝えたかったのか
それは司馬さんのメッセージとして知ってほしい。
そのうえでの批判ならそれはそれでいい。
けれども、原作を読んでいるのならまだしも、
わたしの年代から下の世代はほとんど読んでいないそうです。
司馬遼太郎という名前だけが、権威や、固定観念だけが一人歩きをしていく。

原作は文庫本8巻の長編です。
その意味で、今回のドラマというスタイルなら多くの人たちに
坂の上の雲』を知ってもらえる良い機会だと思いました。
だからこそ、NHKは勇み足をしてはいけない。
でないと、余計な混乱をまた増やしてしまいます。

自虐史観を是正するための過激な論調論法の流行っていましたが
それがゆえに余計な混乱も生まれるものです。

近現代史は難しい。けれどもさ、
坂の上の雲』はその入り口なのです。ここから入っていけば
ひとつの糸口がみいだせる良い作品です。
司馬さんは決して右より左よりの人ではない。わたしはそう思う。
そこから入って、いろいろな関連書籍を読みすすめていけばいいと思う。
この長編を読み切れないと二の足を踏んだり挫折した経験があるならば
今回のスペシャ大河ドラマは絶好の機会だと思います。

わたしはNHKに対してなんら影響力もないし、
すでに第一部は放映を終えました。
わたしにできることがあるとすれば、そのなかで違和感のある部分については
わたしなりに解説していければいいかな〜あと思います。

お正月休みに入りましたね。

第二部放映まで一年を待つ間、
司馬遼太郎の『坂の上の雲』を読んでみてはどうでしょう。
ドラマと平行して読んでみるものオツなものですよ(笑)。


ということで、本年の馬太郎ブログはここまでです。
今年もいろいろ有り難うございました。
来年も引き続き近現代史ブログのスタイルでいきます。

よいお年を
来年もよろしくお願いします。じゃあねえ〜