あかんたれブルース

継続はチカラかな

一度ほどいて編み直し



ということで、鬼塚陰謀説は却下します。

玉石混合。
ムッシュの云うように、
>事実だけ並べても、どんな事実を取捨選択し、
>どういった順番で配列するかで、嘘はいくらでも、つけるわけですが、

結果ありきの意図的な嘘なのか、想像力考察力の障害なのかは別にして
真贋とか出来不出来ってものはあるものです。どんなものにも。
どんな名曲であっても桜田淳子SMAPが歌うと台無しになることもあれば
どんな不細工でも天童よしみの歌で泣く馬もいるさ(涙)。

さて、陰謀説の孝明天皇の暗殺、明治天皇のすり替え、大正天皇のタネなしに
ついて、わたしは否定できません。
前記の2つについてすぐここで結論を出すまでの決定的な材料はないのですが
大正天皇の件は記事にしてもいいかな、と思い、します。

もともとわたしの近現代史のとっかかりは戦後の暴力団史からでした。
そのきっかけは高校時代に観た東映実録路線からです(恥)。
仁義なき戦い』という日本映画史上金字塔のシリーズ作品があった。
なかでも、脚本を担当した笠原和夫には大きく影響されました。

この作品は美能幸三が旭川刑務所で書いた幻の手記を
飯干晃一が「週刊サンケイ」連載して、それを原作として映画化したものです。
笠原和夫は事件の舞台である広島で独自の取材を敢行して
原作以上の事実をこの商業作品のなかに挿入してしまった。
笠原和夫とはそういうライターなのです。

美能幸三がなぜ本来タブーとされる手記を書き公表したかというと
広島抗争の内幕を暴露したいう菊池寛賞受賞授賞した
中国新聞社会報道部の『ある勇気ある記録』の内容に激怒したからです。

事実と違う!

わたしも後年この『ある勇気の記録』は読みましたが
まったく酷い内容です。
復刻の文庫で監修した佐高信はどこに目をつけてなにを絶賛するか?
幸いに、関連書籍は多数出ていますのでその真贋を立証するのは
そう難しくない。

対して笠原は、原作に隠してあった
岡組による高橋国穂暗殺を掴んでその作品に示唆したことでした。
無論、その主犯は作品で小林旭演じる武田明こと服部武とは書けない。
なんといっても広島抗争は進行形だった時期のことです。
それでも、東映という娯楽映画の殿堂のシナリオライター
ここまでの取材をベースに「ホン」を仕上げていることに驚愕しました。
徹底した取材なのです。
ジャーナリストとして、中国新聞や飯干晃一は恥じ入るべきだ。

笠原はその後、日露戦争を描いた『二百三高地』や太平洋戦争ものを書きますが、
それらの作品も表に出せる出せないは別として
笠原流のフィールドワークを存分にいかした手法で作品を仕立てていきました。

笠原の作品に二.二六事件をテーマにした『226』という作品がある。
主演は高倉健でした。
原作・脚本ともに笠原和夫が担当したのですが
この作品のスタッフに「スクリプター」として河野司という人物が参加している。

仏心会の河野司は二.二六事件に関与して自決した河野寿航空兵大尉の兄にあり、
二・二六事件 獄中手記・遺書』など関連の出版物を多数出している方。
http://www.kawade.co.jp/np/author/01305

昭和49年の暮れに笠原は街でばったりと河野氏と会った。
そのとき、河野氏は興奮気味で話したいことがあると笠原をバーに誘った。
その店は軍関係者の出入りする「潜水艦」というバーです。

「実はいま東久邇(宮稔彦王)さんに会ってきたんだが・・・」
http://note.masm.jp/%C5%EC%B5%D7%ED%EE%CC%AD%C9%A7/

河野氏の興奮は東久邇宮から2.26事件の真相を聞いたことからです。
二.二六事件は壬申の乱だったと。
その発端に大正天皇に子供を生ませる能力がないことに危惧して
貞明皇后に何人かの男をあてがった。
つまり、昭和天皇秩父宮高松宮三笠宮大正天皇の子供ではない。
そして、貞明皇后は次男の秩父宮とその父を愛した。

このエピソードは太田出版の『昭和の劇』のなかにあります。
わたしがこの話に信用性を感じたのは
笠原和夫、河野司の人となりと第一情報ソースが東久邇宮稔彦王という点。


近現代史は謎だらけ

しかし、綻びや矛盾の糸口もある。
そういった矛盾や謎を定説にそぐわないからといって
全面拒絶してしまうと話はそこでお仕舞い。
かといって性急に推理を飛躍させてしまうのも危険。

わたしの謎解きはまず「ここ」から始まりました。

ひとつのヒントが点と点を結んでいく。
これが歴史考察の醍醐味でもある。

杉山茂丸という人物の存在が大きく浮き上がっていきます。
そして堀川辰吉郎・・・
近現代史の謎もまた深い。




分類は「若宮」
明治男前烈伝(10)堀川辰吉郎(13)近現代史のなぞなぞ(1)