あかんたれブルース

継続はチカラかな

大きなヒント「杉山茂丸」と「落合論文」

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そういった奇怪な陰謀説のなかに、
(というかそういったもの同列にしてはいけないのでしょうが)
雑誌『ニューリーダー』(はあと出版)に連載される
「落合論文」というものがあります。

これは落合莞爾氏が陸軍軍事探偵だった吉薗周蔵の手記をもとに
十数年に渡っての検証考察のレポートです。

その大枠を簡単に紹介すると
薩英戦争後に薩摩系志士は英国の海洋ワンワールドと親密な関係となり
それと歩調をあわせる形で明治政府を影で誘導していった。
西南戦争後にそのリーダーは吉見

吉井友実  (西郷・大久保と共に薩摩三傑といわれた人)
↓○樺山資紀 (白洲正子の祖父)
●高島鞆之助 (西郷の後継者だったが途中で耄碌したといわれる人)
↓○野津道貫 (日露戦争では第四軍の司令官で上原の義父)
●上原勇作  (秋山好古と陸大同期で工兵科。第四軍の参謀長)

というラインでリーダーが交代していった。

上原勇作は薩摩系ワンワールドを背景に陸軍のなかで権力を把握して
私設(?)軍事スパイを組織して暗躍した。

長州系に影響力をもたらした杉山茂丸は実は
薩摩系ワンワールド・高島鞆之助の伝達士であり、堀川辰吉郎との関係も
そこに付随する。

その最大の地政学的要所が「台湾」にあった。
それは、台湾の樟脳と阿片国産化事業であって、その阿片事業は以後満州
展開されていった、などなどです。


わたしは、落合氏の十数年に及ぶ検証作業に敬意を払うのですが
いくつか、納得できない疑問に感じる点があります。
それは、落合論文を否定するのではなく
あくまでも、その推理を認めるが故の避けられない疑問です。
巷の陰謀説と同列にしたくないためでもある。

というものも、このブログで不定期に紹介してきた
杉山茂丸という旧黒田藩士の存在こそが
日本の近現代史を解く重要なヒントであるとわたしは確信してきました。
杉山の存在を知ったのは『日露戦争・明治人物烈伝』の執筆中でした。
この本は『坂の上の雲』の日露戦争の部分に集約させたガイドブックという
コンセプトでしたので、
杉山の存在が大きすぎて作業途中で脱線しそうになりそうで苦労しました。
なんとか、数カ所の表記にとどめることでまとめた。
しかし、5年後『坂の上の雲まるわかり人物烈伝』の文庫化で我慢できずに
杉山茂丸の稿を奉天会戦の後に設けた次第です。

江ノ島の児玉神社に関連して、どうしても児玉と杉山のことを紹介したい。
のですが、これがなかなか難しい。

そこにきて、堀川辰吉郎という謎の貴公子が存在し、
また「大本教」という戦前の新興宗教との関係が浮き彫りになります。
厄介なことに踏み込んでしまったと危惧すべきか?
謎を解くヒントを獲たと歓ぶべきか? 非常に微妙ですが、後者とします。

上原機関は満州の阿片事業から張作霖の籠絡と暗殺と
日露戦争以降、児玉源太郎死去の後に舞台を移します。
この時代はとても謎が多すぎて生半可な知識では咀嚼が難しい。
わたしなどの知識では地雷を踏みかねないので
ゆっくり時間をかけて咀嚼してから記事にはしますので
もう少しお時間をください。

わたしの歴史考察のポイントは「人物」を重要視します。
その進退言動(言葉と行動)と誰と交際したか。
思想だけでは把握できない。
資料重視は当然ですが、どうも表面上の結果論だと人物像が希薄になって
血の通った人間として感じない。
たとえ、どんな冷血漢でも人間にあることは間違いありませんからね。

そういった、観点から
尊敬さえするであろう落合莞爾氏の論文に時として
ケチをつけるようなカタチになるかもしれませんが、
これは認めるからであって、
拒絶否定誹謗中傷の類ではないことを御理解ください。

また、ここでは「落合論文」の概要については詳しく説明を省きます。
その内容を知りたいかたはネット検索で
「落合莞爾」「落合論文」「吉薗周蔵」「雑誌ニューリーダー」「上原勇作」など
関連キーワードで関連のホームページ・ブログでも紹介されていますので
そちらを読んでみてください。




分類は「若宮」
明治男前烈伝(10)堀川辰吉郎(13)近現代史のなぞなぞ(2)