あかんたれブルース

継続はチカラかな

単純バカ熱血漢と切り捨てられない戦略論



せっかく軍人になって、しかも陸軍士官学校を卒業して
栄達を約束されたのに軍事探偵なんて損な仕事はまっぴら。
という考えが生まれます。これも当然かもしれません。

支那通軍人が特に非主流の徒花になっていく理由として
中国を助ける、という義侠論というかロマンティシズムが原因にもなる。

中国を立て直すには現体制の清王朝では無理だ。というところです。

清国は満州民族であり征服者であって、
当時の中国は少数民族である満州女真族支配下にあった。
本来の漢民族は自分たちの国を復活させたい、わけです。
「アジアの保全」とはまず、
中国の保全であり、立脚独立が大事だと考え
支那通軍人たちは漢民族独立運動家と深く提携していきます。
色々な人間がいますからそれぞれの体温差もことなるでしょうが
初期の、たとえば日清日露戦争までは比較的純粋だったとしても
間違いではありません。

それが故に、進歩派というか合理主義者というか現実主義者的立場の者には
「単純バカ熱血漢」に見えたかもしれません。

これが支那通軍人を本流から外していった理由のひとつでもある。

文明開化とは、欧米合理主義の吸収でもあり、
西洋列強の仲間入りをはたすことであると、変容していきます。

できるだけ損をしないで、自国の安全と利益を確保していく
しかも欧米の御機嫌を損なわずに刺激せずに上手く世渡りをする。
これが知的戦略と考えられる。
これが「国益」なのだと。
だから、支那通軍人のヒューマニズムは危険なのだ。

危惧したのは政府要人。その代表は伊藤博文と外務省

中国の保全には現政権の清朝転覆の革命なわけです。
ここの当時の中国は二重構造があって複雑。それに欧米の思惑もある。
  日清戦争はそういった背景で戦われたのです。
  これは日本と中国の戦争ではない。
  日本と清国(満州人)との戦い。

とは別に
ときに、派遣された参謀部員が現地で暴走しそうなときもあって
「トメ男」も派遣されます。
柴五郎とか代表的な「トメ男」だった。監視役も派遣されたりとか。
  もっと時間が経過すると満州事変以降には「トメ男」として派遣された
  建川美次が一緒になって燃えるなんてことにもなりますけどね。

だからたとえば、日清戦争の火付け役だった荒尾精が
講和条約で「いっさいの領土も賠償金も清国から獲ってはいけない」と
泣きながら訴えたのを
ある者は単純バカ熱血漢のロマンさんと受け取るかもしれません。

でもね、そう単純じゃあ、ない。

日本の戦略は国家の安全保障でした。
結局、目先の損得論というか合理性を選択したがゆえに
三国干渉を招き、日本はそれから途轍もない軍備拡張に奔走することになる。
賠償金なんかアッという間に吹き飛んで
国民は重税に苦しむことになるわけです。

だから、荒尾精の義侠論(?)もまんざらバカにはできないのです。


こういったなかに花田仲之助はいた。