あかんたれブルース

継続はチカラかな

傷だらけの人生劇場



三十代のはじめの頃だったでしょうか
宮本輝の短編に「生きることと死ぬことは同じ」というようなことが
記されていた。
「なるほどねえ」と、関心はしたけれど上手く咀嚼できなかった。

ゲド戦記』(2006年7月29日公開だからこのブログを始めた頃ですね)で
同じような台詞があって、久々に思い出しましたが
まだよく完全には理解できていなかった。

それから半年か一年後、ようやく納得することができた。(なにがあったの?)


現在、いまだに左右分別思考法が浸透しています。

以前、見沢知廉の『天皇ごっこ』で
「右翼と左翼」は非常に似た者同士という話に「へえ〜ッ」と。

よく、頭山満とか杉山茂丸を右翼の元祖とかするけれど、
頭山満玄洋社自由民権運動から発したことから
中江兆民とか大井憲太郎などとかとの深い交流を眺めて、
はたして、頭山・玄洋社内田良平黒龍会を右翼としていいのか?
ましてや、杉山茂丸を右翼の枠に押し込めていいのか、疑問でした。

と、いうのもわたしの近現代史の出発点は戦後の暴力団史からで、
たとえば、三代目山口組の幹部で(山一抗争で射殺された)白神英雄(一朝)は
代表的な右翼活動家組長だった。
また、広島抗争で敗れた者達は総会屋に流れます。総会屋と右翼の関係も深い。
そういった、ものと、頭山、杉山、内田良平などを一緒にしていいのか。

猪野健治の『右翼』で、その変遷史を読んでその疑問は払拭された。

やっぱ違うよね。

ま、最近では大陸思想とか国家主義とされいますが、そこには=右翼の
含みもあるようです。

資本主義と社会主義共産主義)これにアナキズム無政府主義)という
徒花があったりして大混乱大盛況だった時機がある。
明治後期から大正にかけてです。

百科事典でお馴染みだった平凡社って会社、聞き覚えがあるでしょう。
あそこは、社会主義者やら無政府主義のたまり場だった。
で、これらは非常に仲が悪くて飲み屋で喧嘩して大変だった。
官憲も加わってバトルロイヤルです(汗)。

わたしが無政府主義者大杉栄を知ったのは
飯干晃一の『狼どもの仁義』で主人公石黒彦市(『人生劇場』の飛車角のモデル)が
信奉するところからです。あれは二十歳前後でした(懐)。
  石黒彦市は一匹狼のやくざで、無政府主義者でした。
  兄弟分の右翼やくざ岡村吾一によって射殺される。

無政府主義者大杉栄を殺害したのが、憲兵隊の甘粕正彦大尉。
弾圧される側とする側、無政府主義国家主義という図式だ。

ところで、大杉と共に殺害された妻の伊藤野枝は福岡出身で父親は玄洋社
その伝手から野枝は杉山茂丸に資金援助を求めます。
杉山は大杉と会って、間接的後藤新平を紹介する。
その後藤は大杉に金を与える。

不思議でしょう。
また、後藤新平正力松太郎を援助したのは有名な話ですが、
大杉栄と元警察OBで読売新聞創業者っていうのもなっというか・・・


さて、大杉殺しの甘粕正彦はその後、満州で暗躍します。
彼の手足になって働く者達は右翼左翼のアウトローたちだった。
不思議でしょう。

無政府主義国家主義。これは右翼左翼と同様に非常に似ている。

要は国境をなくそうというものです。

それを無政府主義が内からとするの対して
国家主義は外に向かっているだけ。


ようやく見沢知廉の言わんとすることが
咀嚼できました。

だから、あんまり右だの左だのとヒステリックになることないと思うよ。
えっ? 韓国に支配される?
自国さえもまとめられない国にそんな芸当ができるはずないじゃない。
それこそ過去の歴史が立証してるさ。
右翼? いまの右翼にそんな力はありません。
やくざ? 10万人のやくざでなにができるのだ。
ああ、鶴田浩二の「傷だらけの人生」を歌いたくなってきた。

♪ なにからなにまあで真っ暗闇夜 筋の通らぬ事ばかり
  右を向いても左を見てもバカとアホウの絡み合い〜

ということで、本日の〆は
甘粕正彦が歴史上の人物で一番嫌いな人は誰でしょう?