あかんたれブルース

継続はチカラかな

羨望の熱き想い

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坂の上の雲スパイ大作戦(6)


イラストシリーズ第二弾は根津一です。

なかなか渋いです。それもそのはず、
先日引退声明を発表した俳優の根津甚八は曾姪孫にあたるとか。
どこなく似ている。

根津一ってどういう人? 肩書きをつけるとしたら「教育者」なのかな・・・

東亜同文書院(大学)の校長を二十年以上務めた人。

御存知のようにわたしは杉山茂丸に強く感化された信奉者です。
「一人一党」という生き方は杉山から学んだ。
その杉山の盟友に荒尾精という人物がいる。
その荒尾の無二の親友が、この根津一だ。

根津一は陸軍士官学校旧4期から陸軍大学の一期生に選抜される。
そう、坂の上の雲でいう秋山好古などと同期生となります。
児玉源太郎(校長)の門下生といってもいいですね。

さて、講師はドイツ陸軍から招聘したメッケルでした。
そのメッケル先生と大喧嘩をして退学処分になったのが、この根津一だ。

豪傑肌だったそうです。しかも優秀。
陸軍大学退学は、参謀本部つまり出世コースから外れることになる。
しかし、根津はそういうものにこだわらなかった。

士官学校時代の親友だった荒尾精(旧5期)が軍事探偵として
上海に日清貿易研究所を開設すると、その運営に参加した。
諜報活動がメインである荒尾にかわって
実質的な責任者となる。
これがやがて東亜同文書院に発展していくのです。

根津は花田仲之助(旧6期・後に満州義軍総統)とも深い関係です。
花田は西本願寺僧侶となって軍事探偵として満州シベリアに赴いた。
そのとき、彼の妻子を預かったのが根津一です。

絆がある。

熱い、信頼関係がある。

絆、信頼、愛、友情・・・そういった言葉をここで用いるのは
現代のうすっぺらい言葉に堕ちてしまったそれと比較して違和感さえある。
それほどに、彼らの信頼関係は眩しい。

わたしはそれが羨ましい。
近現代史、特に明治の、日露戦争以前の日本人に
わたしが惹かれるのはそのためです。

日清・日露戦争侵略戦争と位置付けるものもいますが
冗談じゃない。そんな単純で浅はかなものではない。
「アジアの保全」というものがあった。
名誉も栄達も捨てて彼らは奔走しました。

こういった支那通軍人のロマンティズムを
日露戦争以降の支那通軍人のそれと同列に考えるわけにはいかない。
「信じる」「信じられる」仲間がいた。そこに愛があった。
賢くなってしまった日本人には理解できないかもしれませんが、
そういう「単純」でも、深いエロティシズムを感じていた。

引き寄せの法則なるものがあるとすれば、
彼らを、彼らが、引き寄せられたものとは何か?

この、世の中で一番大切なものを
彼らは知っていたのです。

それは、個人だけではなく、国家であっても同じです。

政治不信といわれます。

違う。

いま、日本人が陥っているのは人間不信だ。

日本人はまずそこから、改めなければいけない。
政治や政策の問題よりも
まず、そこから。

「 同文書院は単に学問を教えるだけの学校ではない。
  学問をやりたい者は大学にゆくべきだ。
  大学は学問の蘊奥を究めるところであるから、そこで学ぶのが正しい。
  諸子の中で学問で世に立ちたい者があれば、
  よろしく高等学校から大学に進むべきで、本日この席において退学を許す。
  志を中国にもち、根津に従って一個の人間たらんと欲する者は、
  この根津とともに上海にゆこう 」


この根津とともに ゆこう・・・

熱いなあ


根津甚八がカムバックした
是非、この根津一を演じてもらいたいものです。