あかんたれブルース

継続はチカラかな

マイセンと黄昏の真珠

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わたしの家の周辺にはたくさんの公園があって
この季節はすっぽり紅葉に包まれています。とてもいい感じ。
秋真っ盛り、燃える秋
落ち葉で敷き詰められたそのなかを歩いていると
スクリーンのなかにあるような錯覚に陥る。

第三の男、恋人たちの予感、黄昏・・・

黄昏てるなあ
感傷的な小さい秋みつけた銀杏みつけた、鼻に近づけてみる。臭っ
トリップしそう(汗)

もの悲しく、人恋しくなる季節ですが
日本人はこういった四季のなかに生きていて、その変化を知っている。
すべてが枯れはて冬の季節が訪れても、絶望はしない。
やがて春が来ることを知っているからです。
こういった感覚が日本人の生死観、美意識、エロティシズムを
独特なものに育んでいきました。

人の一生、その時間とは、決して後戻りできない一方通行の有限。
それを受け容れる天然の無常というものを身につけている。
不思議な民族だ。


茶店「ルイ」に入った。

「いらっしゃい。相変わらず渋いのね」

「いつもの」

わたしはカウンターの奥から三番目の席に座った。
この店のママはわたしの趣向を知っている。
わたしの帰るべき場所といえるだろう。

「はい、お汁粉ブラックね」

カウンターの上にマイセンのカップに入った
黒糖仕立てのお汁粉が置かれた。

「お餅は?」

「いや」

「そう、別に焼くのね。きな粉にするのそれとも磯辺」

一瞬、むかしの女を想い浮かべた・・・

「磯辺に、してくれ」

磯辺、範子・・・褐色のもち肌の女

追憶をふりはらうようにカップを口元に近づける

アッチ!

猫舌だったの忘れていた。消え去った先住民族。それはアパッチだろ。
北海道十勝産の小豆の薫りがわたしを癒す。けれどもこれは中国産。
それでも、その黒い液体がわたしの体内に入ると
甘さが喉をヒリヒリ脳天に鉄槌。

歳を重ねて、歳月が、わたしの脳を発酵させていく。
甘いものは脳を刺激してボケ予防になることを知っていたか。茂木さんが言っていたぞ。

餅を焼く香ばしい臭いが店の中を包む 萌え〜
さっきに銀杏をさわった手を鼻に近づけて 臭っ萌え〜
その表情を、ママは見逃さなかった。

「あなたいま切ない顔をしたわね」

「そうかな」

「男も餅を焼く匂いを嗅いで
 切ない表情をするようになったら、一流よ」

よかった、銀杏のことはバレてない。

「ママ、昨夜『新宿鮫』読んだだろう。風化水脈」

「はい、磯辺」

「範子」

「だれそれ?」

「もうむかしの話さ」

昔々、ワンスアポンナタイムイン勝浦デ
磯辺範子という海女さんが大きなアワビを獲りました。
そのアワビがわたしだ。


磯のアワビに望みを問へば、わたしゃ真珠をはらみたい



またつまらないものをアップしてしまった。(火鳥静「サムライかあちゃん風」)
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