あかんたれブルース

継続はチカラかな

ノイズとインテリジェンスの相違



ひとくちにGHQ連合国最高司令官総司令部)といっても
G-2(参謀二部)とGS(民政局)が激しい主導権争いをしていました。

G-2は保守勢力を応援し、吉田内閣を誕生させている。対して
GSは左翼勢力を支援し、片山哲芦田均をその前後に政権につけていた。

日本占領時のG-2の役割は「諜報、保安、検閲など」とされている。
このG-2のなかにCICなどがあり、やがてCIAに発展していきます。

CIA(Central Intelligence Agency)中央情報局
Intelligenceは「情報」ということですが、
この情報は私達が今日考える情報ともインテリジェンスともすこし違う。
ネット社会において情報が氾濫しているとよくいわれます。
しかし、そういった情報はここでいうIntelligenceではなく、素材でしかない。
時にはノイズでしかない。
その素材に専門的な分析や評価を経たのちに「知識」にまで高められたもの、
これがIntelligenceというものです。

さて、このG-2には戦後解体されたはずの軍閥の一部が温存され利用されていた。

形式的にいうと宇垣一成を頂点とする宇垣機関がその中心的なものです。

宇垣機関−(河辺機関)−河辺機関(河辺虎四郎)大本営参謀本部次長・中将
            有末機関(有末精三)中将
            児玉機関(児玉誉士夫
            服部機関(服部卓四郎)大佐
            及川機関(及川源七)中将
            岩畔機関(岩畔豪雄)少将

などの他に、吉田茂の軍事顧問を一手に引き受けていた
辰巳栄一の機関や独立性の強かった辻政信の存在もありました。

辻政信は以前ここでも狂気のカリスマ「躁」参謀として紹介したことがあります。
石原莞爾の子分で悪名高きシンガポール華僑大虐殺の首謀者。
旧帝国軍人の間ではすこぶる評判の悪い男ですが、
戦後、戦犯になることもなく逃亡中の体験記がベストセラーとなって
国会議員にもなった異色の、謎の人物だ。

こういったなかでCIAからもっとも重要視されていたのが
polestar - 5」のコードネームを持つ辰巳栄一でした。
一昨年、NHKでドラマ『白洲次郎』を放映したときに高橋克実が演じていましたね。
彼を戦後の日本のインテリジェンス工作のキーマンとしていいでしょう。

日本は戦後復興から土建国家になりますが(現在は役人国家かな?)
戦前は軍事(産業)国家だったわけです。
また、敗戦となったからといって軍人が消えてしまったわけではない。
その多くは召集兵でしたから一般人に戻りましたが
多くの職業軍人も存在したわけだ。
これといった産業もなかった日本で軍人を職業とする人達も多かった。
優秀な人材がそこに集まったことも確かです。

ここに軍閥というものがあります。
GHQはこれを解体するためにやってきましたが、東西冷戦によって
財閥同様にこれを解体するよりも利用して共産勢力の防波堤とする
「逆コース」を選択したわけだ。

こういった軍閥を軍人だけに絞れば全国に50万人いたといわれる。
組合や宗教団体と比較してもかなりの勢力です。
この旧軍人の雇用問題がネックにある。
これが国防という観点からやがて自衛隊誕生になるのわけです。
それを望んだのがアメリカだったというところが皮肉ですけどね。

これは諜報、スパイ、陰謀の話ではなく、あくまでも
原発の話であり、利権の話ですからね。
わたしが利権というものを否定しない、できないのは、
そのベースに民主主義とか国民の利益と絡めて考えた場合、
それを否定するのは超難しいからだ。無理なのだ。
電力会社にも役人にも組合があって家族が存在する。
都市部と地方の格差もあるから公共事業も否定しきれないはずだ。
自分たちのことだけ考えればいかようにでも割り切れるけれど、
ちょっと想像力を働かせれば身動きとれないジレンマが存在する。
利権を悪として、
完全拒絶すると絶対に矛盾が生じて身動き取れなくなって沈没してしまう。
無論、民主主義をやめてしまえばその限りではありませんけどね。
そういった皮肉というか苦肉が潜んでいるのだ。

さて、これと平行して
GHQの政策には国民を親米化することから「テレビ」の普及に乗り出します。
お待たせしました。ここでようやく正力松太郎の登場だ。