野風の教唆
「馬ちゃん、神様っているの?」
昼間っから酔いしれるスケ番刑事に
唐突に尋問された。
躊躇する暇も与えず
運命は、宿命は、それは変えられるかと
矢継ぎ早にたたみかけられた。
節電モードの思考モーターがフル回転して煙がででで、で
「まず、それを神というか仏というか天とするか、は
別として、そういった人間を超越したものは、在る」
ここから自分のペースに戻して
展開させようとしたが
それを相手は許さない。
「運命は定められているの? 決まっているの? 」
「いや、そうじゃない。」
「変えられるの?」
「変えられるさ」
「それは小さい子供だったら変えられるかもしれないけれど
わたしみたいになったらもう変えられないんじゃない」
「いや、変えられるさ」
「じゃあ変えてよ」
そうきたか・・・
煙から火花が散る。
引火して頭髪を燃やし頭皮が焦げていく。
頭の天辺がカーリーだ。
奇跡を起こせと喉もとに短剣を突きつけられた。
どうする、馬太郎。
「じゃ、よろしく」といって電話は切れた。
・・・