あかんたれブルース

継続はチカラかな

なで肩の月



むかし好きなおんながいて、うまくいかなくなって
別れをきりだされた。

その前からうまくいかなくなってたんで、
予測はしていたけれど

うつ気味で起伏の激しいおんなだった。
といって躁と鬱が等価交換じゃない。
月の二十日はどっぷりと沈んでいる
嘆きと悔やみと厭世に浸ってるって感じ
自分のことが嫌いなおんなだった。

嘘つきだった。

生きるために嘘をつく
そうしないと生きていけないんだ。
もしかしたらそれで最初から騙されていたのかもしれない。
悪い、って思ったのかもしれない。
気をつかわれたのかな。

理不尽な最後通牒をつきつけられて、
三日三晩説得したけれど
だめだったね。
もうとっくにだめなんだ。いまさらどうにもならない。
筋立ては読めていたよ。

その間、親友に相談していた。
奴も似たような経験があり、傷を負っていた。
俺は切るといった。
奴は残せといった。

絆をさ。


それを断っていけないという。
そういうのは連中の習性で手口なんだと
ある時期をおいて、必ずかえってくると

そうだろうと思った。

相談したくせに、奴の言葉に耳もかさずに
四日目の朝
ばっさり切った。

最後の言葉は、

「嘘つき!」だった。

まったくひどい別れだったね。
出来の悪い「花王愛の劇場」は放送終了。
最低の男。


帰ってきたら、奴からメールが届いていた。
その長い文面には
残せという説得のメッセージが綴られていた。

それを読めなかった。
悪いとは思ったけれど、読めなかった。
惚れてたからね。つらかったんだ。
残せないよ。つらくて

自分は、最低の男なんだと思った。

そういう人間です、わたしは