あかんたれブルース

継続はチカラかな

甘栗とお菓子詰め

恋愛卜伝十二番勝負(第七番)


先日、上野で友人と会うことになりまして
待ち合わせ場所は御徒歩町駅のミルクスタンドの前
すこし早めに着きそうだったので
ひとつ手前の上野で降りてアメ横を歩いた。

アメヤ横丁に入ってすぐに甘栗屋がある。
今日もかわらず兄さんが甘栗の赤い袋をひとつふたつと
重ねるデモンストレーションをやっていた。

よっつしかない単純な仕掛けなのですが、
それを夢見るような表情で眺めていた女がいたっけ。

「馬ちゃん、見てみい
 四つや、四つやで」

その表情がまるで少女のようだった。
とび色の瞳にコンドルが映っているよな
母を訪ねて三千里のマルコのような
素朴なアンデスの少女のようだった。
さっきの喫茶店でウエイターのイケメン度を物色していた
性悪女とは別人だ。
四袋入り千円の天津甘栗を買ってやったら喜んでさ。
千円でこんなに喜んでくれれば漱石も満足だ。

そこから、すこし奥にいくと菓子屋があって、
今度は袋にお菓子を投げ込んでいる。

「これも入れちゃう、これもいれちゃう。これで千円だよ!」

女は足を止めてじっとそれを見つめていた。
まるでスズメをみつめる野良猫のように値踏みしている。

「あれも買ってやろうか」

「ええわ、あんなん損や」

女は観察して、
一袋千円のお菓子の袋詰めは
損だと結論付けたようです。

そうだったのかな? それとも遠慮したのか、どうなのか。

そのことを、買わなかったことを、
あのときのことを、すこし後悔している。
関西人は損得勘定にうるさい。ケチとかじゃないんだ。
そこに美学があるから厄介なんだ。
下手を打つとむくれてしまうんだよな。

東西関係なく、女性というものは疑い深い生き物なのだ。

でも、なんとなくあのときのことが、気になっていて
今、こうして威勢のよい兄さんの掛け声を聞いていると
なんとなくね、買っちゃった(汗)

「これも入れちゃう、これもいれちゃう。これで千円だよ!」

ホントは最後に「もう一声」というのだろうけれど
今日は一人だったことだし、照れくさくて
黙って千円札を渡した。
肖像画漱石から野口英世に代わっていました。

兄さんはわたしがそれ以上注文をつけないと察してか
袋手渡す前にもうひとつおまけを追加で入れてくれた。

さて、有限会社志を村商店の菓子袋の中身は、

スーパーおっとっと(100円相当)が3袋
森永DART(100円相当安売り店で87円かな)が3個
ウェルタース(輸入物のアメ。キオスクで100円だな)3個
アッシュモアーズ(輸入物の丸ごとイチゴ入りチョコ2p入100円)2個
モッチーニチョコ(駄菓子屋で70円ぐらい?)3個
輸入物のコーヒーチョコクランチ(これは150円はするかも)1個
リンツリンドールミルクパック(5p入りで200円)1個
森永チョコフレーク(100円でしょ)が2個。

まあ千円以上はするわけだ(笑)
試算したら1860円で消費税いれたら1953円
たぶん二千円相当の設定なんでしょうね。
三割引きにしても1302円~1400円

マルコ、損じゃなかったぞ!



11月11日午後5時55分
菓子を詰めた白いレジ袋にぶらぶらさせて
アメ横を御徒歩町方面に歩いて変なオヤジはこの俺さ(汗)