あかんたれブルース

継続はチカラかな

ミナミの新社会人



Kちゃんには腹違いの姉がいる。
腹違いといっても種も違う。

河馬子、18歳

今年高校を卒業。
心配させる子で、手に汗握る三年間でした。
紛れもなくわたしの娘です。
卒業式を待たずしてお水デビュー
これでいいんだろうか?と
かあさんとアタマを抱えていたんだ
それなのに君は半月も経たないうちに
ミナミのキャバクラでナンバーワン
ギネス級のカリスマキャバ嬢になってしまった。
かあさんに似て別嬪さんだもんな、当然か。
しかも客の扱いが上手いそうだ。

大阪駅の改札で待っていた君が開口一番
「やくざや!」と腰を屈めたね。
テレたのかな? 

わたしのバッグを興味深く見ていた。
「クスリが詰まってるんやろ」
河馬子、わたしは富山の薬売りじゃない。
こら、バッグを勝手に開けるな
わたしは運び屋じゃないってば(汗)

ツンデレのプリンセス
卒業式も店長のクルマで送迎だったそうで
超VIP待遇を受けていると聞く
金を生む金のタマゴだもんね
新地にスカウトされるのも時間も問題だそうな。
なんばパークスの近くのマンションに
新しい部屋を借りるという
店が用意した新築の物件(分譲物件だってさ!)
まったく、苦労なんて御無用じゃないか。

よろこでいいのか、なんとも微妙なんだけれど
悪い気はしないバカなパパを許しておくれ

普通だったらね、色々ひと騒動なんでしょうが、
卒業しても夜間高校じゃ工場のラインとかですぐに辞めて
そこから訳わかんなくなってしまうケースが多いとか。
仕事に貴賎はない。
やるからには一流を極めてママになってください。


これまで電話で話したことはあったけれど
わたしの話すことが意味不明だという
わたしから出した手紙も読めなかったんだろうな
漢字にはルビを入れておいたのだけれど・・・意味がねえ
授業中に先生に暴言を吐いて退学になりかけたとき
反省文の書き方をアドバイスしたこともあったっけ
あのときは素直だったな。
現金な奴だ。

河馬子、卒業おめでとう。

君ははやく大人になりたがっていた。
そんなに急ぐことはないと、わたしは思うけれども
わたし自身がそうだった。そういう時期がある。
人生は有限だ。いまはわからないかもしれないけれど
とにかく、今を大事にする。今を懸命に生きる。
これでなんとかなります。

稼いだ金は慎ましやかに貯金してるみたいだ。
これからの心配は「男」だな。
かあさんとそう話している。
いい男をみる目を感性を養ってくれ。

しかし、最近の若い娘のメイクはよくわからない
まつ毛上に塩昆布がのってるようで気になってしまう。
濡らしたザル蕎麦の海苔が三枚重ねだよ(汗)


「11時からカットの予約してたんじゃないのか」

「これから行く」

「仕事がんばってるみたいだけど無理すんなよ」

「無理でけへん」

「悪い男に引っかかるんじゃないぞ」

「悪い男がよう言うわ」

わたしを観て安心したのか
それとも呆れたのかこれからナンバに出るという

別れ際に

「じゃあまたな」と手を、
握手しようとした
そのとき
河馬子は言った。


「カネ取るで」



参り、ました。
握手して、娘と別れた。






PS.金は払ってないよ(汗)