あかんたれブルース

継続はチカラかな

やさしい人



「あなたってなぜそんなにやさしいの?」

「そんなことないよ。でも君に対しては特別かな」

「そういうあなたはいつできたの?」

そんなことを問われた。
一昨日の晩にBSで『蒲田行進曲』がオンエアされていました。
懐かしい。しかし、30年前の作品だって(汗)
23歳のときに渋谷の東映で観た。
原作・脚本はつかこうへい。映画化にあたっては深作欣二が監督を務め
松坂慶子風間杜夫平田満が好演し、泣いて笑った思い出深い作品。

若い頃、様々な映画や本に影響された。
ボギーの『アフリカの女王
『ジュリア』でハメットを演じたジョンソン・ロバーツ
仁義なき戦い』の小林旭成田三樹夫・・・


そういうあなたはいつからできたの?


蒲田行進曲』の平田満演じたヤスにも強く影響された。
ドSってことじゃないよ(汗)
なんというか一途というか献身的な誠実をヤスに学んだ。
その意味で、この作品の前半は圧巻です。

押し付けられた女を、しかも腹に他人の子がいる。
処女性なんてまったく関係ない。
そんな彼女を必死に体を張って守ろうとするヤス。

格好よかった。
カサブランカよりも、健さんよりも、夕陽のガンマンよりも

「うちのコレがコレなもんで」

このヤスの台詞が当時流行ったそうです。
シャレ、ギャグとしてだったみたいですが、
わたしは真っ直ぐに受け止めて、使っていました(笑)

外国映画、たとえば『大空港』でディーン。マーティンが
恋人の妊娠を喜ばない。中絶をもとめるシーンに
彼の不実に憤りを感じたのが中坊の頃。
こういう価値観は前のインテルのCMでも健在。
ヤスは自分で孕ませたわけじゃないのに・・・
わたしの青春のわだかまりというか戸惑いに
ヤスの行動力は福音のようでもあった。

けれどもそれから十数年近く、わたしはヤスの足元にも及ばない。
ビビるディーン・マーティンのできそこないさ。
あれから、三十年。息子も中学三年生。
すこしは作品に対する見方も変わったかな?という思いもあって観た。

というのは、この作品の後半のヤスの言動が
当時わからなかった。
階段落ちという決死の役を引き受けてしまって
焦る荒れる暴れるヤスの行動が不自然だったのです。
それをリアリティーというかもしれない。

監督はリアリズムの巨匠深作ですもんね。
でも、わたしは認めない。

そういうこともあって、確認もあって、再度観たのです。
結論として、名作『蒲田行進曲』の後半部分はペケなのだ。
観念的に拵えている。たとえそれが劇の「やぶれ」であっても
出来、損なっている。

それでも松坂慶子の小夏が引っ張っていましたねえ。
すばらしい女優、素敵な女性。
そして、あのラスト!
圧巻!


そういうあなたはいつからできたの?


「23歳のときに
 蒲田行進曲の前半のヤスに教わったのさ」

わたしの胸に頬を寄せていた彼女が
顔をすこし浮かせてわたしを見つめて、そして唇を胸に這わせて
わたしの乳首を、噛んだ。

あっちょおおおおおおおおおおお!


そして、吸った。


がちょおおおおおおおおおおおん!