あかんたれブルース

継続はチカラかな

銀が泣いている



ちょっと番外で
昨日、阪東妻三郎の『王将』を観てえらく感動した馬太郎です。
これで二度目の鑑賞でしたが、ストーリーはほぼ忘れてました。

いま、ウィキぺディアで実際の主人公阪田三吉と重ねてみて
ひとしお感慨深く、たそがれいる。
そう映画と差がなさそうなのでちょっと安心した。

三吉が無学で貧しいのは
被差別部落出身者だったからなんですね。

映画のなかで、貧しい長屋から見える通天閣
あの場所はどこだろう?
後半で妻を懐かしい天王寺に誘うという場面で
ああ、あの場所はきっと今の天王寺動物園
もしくは新世界の近くなのだと察せられた。

この映画のクライマックスは泣けます。

ライバル関根名人の襲名式に上京し
その祝いにと自ら編んだ草鞋を贈るのだ。
三吉は草履職人だったのです(涙)

この場面、泣けます。関根名人も泣いていたよ。
えっ、映画の話だろうって?
いや、映画でも講談でも落語であっても、泣ける。
なんというか日本人の清さというのかなあ・・・

無学。そういうなかの一途さ純粋さに感動させられる。
阪妻が上手いといえばそうなんだけれど
息子の田村高広がみせた『泥の河』のように
やさしい大阪弁がたまらん。

そして、三吉は優しい。
場面は大阪からの電話で観客の気持ちをさらに揺らす。
恋女房小春が危篤だ!

三吉はアホで極道(やくざじゃない道を極めるの意味)
ですが、桂春団治のように芸のためなら女も泣かす
そんな自分勝手な自己中じゃない。

その最期、小春の手からこぼれた王将の駒
あれは、小春が貧困に絶望して娘と乳飲み子を抱えて
列車に飛び込もうとした、あの日・・・
その報に
三吉が反省し二度と将棋は指さないと妙見様に誓って
燃やした将棋の駒がひとつだけ焼け残った王将だ。

小春はそのとき三吉を日本一の名人にと祈った。
そして、その駒を大切にお守りにしていたのです。

映画とはいえ、よく出来ている。参った(涙)


時代は明治から大正初期
三吉の無学、無教養というのは
文盲なのです。自分の名前も書けない。
でもさ、非常に人間的に清いのだ。

最近、外交問題で臍を噛むことが多いけれど
日本人はこのように、謙虚で節度のある民族であったかと
坂田三吉という実在の人物を思いながら、かみ締めた。

機会があったら観てください。
日本映画の名作のひとつですが、
当時の日本人の貧しい生活などがうかがわれ
日本人が一方的に韓国人をいじめた、なんて話を
うのみにしな真実がつまっている。

歴史のリアリティーはこういうところから
肉付けしていけると思います。


三吉は『ガラスの仮面』の主人公北島マヤ
モデルだそうです(汗)
知らなかった(涙)