あかんたれブルース

継続はチカラかな

誰が不幸で幸せか



先日、新宿で会談した彼はうつ病だった。
だったという過去形は以前彼から
打ち明けられたものですが、それが再発してる
そんな感じでした。
症状は安定していたのですが、当日は激昂し
興奮状態から大声を出して厄介だった。
再発して、症状が悪化している。
困ったものだ。

彼がうつ病になった原因は
四十代前に糖尿病となったことからだそうです。
わたしと彼は同じ歳だ。
糖尿病になったもの同じ頃だったと思う。
エリート意識の強い彼にとって
これは青天の霹靂で、大きな挫折、絶望
だったのでしょう。

わたしが糖尿病と診断されのは39歳。
息子の誕生から
この年の四月にローンを組んで
マンションを購入していた。
その息子の一才の誕生日のあとで
その日のことは忘れられない。

息子の誕生日の翌日、
赤坂でO氏と遅くまで呑んでいた。
話題も尽きてふと最近の体調について話した。
O氏は元東大の解剖医で、医者だったのです。
酒場での問診は「君、それ完璧に糖尿病だぞ」
と脅されて直ぐに病院に行けという。
翌日は水曜日で酒も残っていたので
翌木曜日の9月10日にいつもの内科を受診したら
あっさり糖尿病だといわれた。
覚悟はしていたけれど、さすがに落胆した。
わたしの表情を察してか医師は
「糖尿病でも長生きする人はいるよ」
と変な慰めの言葉をかけてくれた。
どう受け取っていいものやら・・・

糖尿病は治らない。
それ自体にこれといったきつい自覚症状はない
けれど、合併症が恐いのだという。
40代からのこれかという時期に
そういう十字架を背負ったことに悲観した
彼の気持ちはよくわかります。

もう一人、高校時代の同級生で自殺した男がいる。
その訃報を知ったのは四十代はじめだった。
自殺の理由は糖尿病だったそうです。
真面目な性格だったので思い詰めたんだろう。

昭和34年生まれの3人の男が
働き盛りの四十代を糖尿病というハンデに
ケチがついたことはつらい現実です。

わたしは人生の折り返し地点を35歳と
考えている。35×2で70歳
自分が70まで生きるかはわからないけれど
35歳を分岐点に自分の人生観は大きく変わった。
それ以前は未来に対して自分の人生、可能性に
無限のイメージがあった。
そこに何があったかは一概にはいえないけれど
35歳を過ぎて、それを有限と捉えるようになった。
出会える人もまた有限であると。

その折り返しから5年も経たないうちに
糖尿病を背負ってしまって
落胆はしたけれど、
ただ、わたしはうつ病にはならなかったし
自殺しようなってことも考えなかった。
楽天家だから?

それから十数年、わたしは四十代を
糖尿病と共に歩み、インスリン注射を打ちながら
合併症も順調に出て53歳でまだ健在です。

わたしは楽天家なのか?

そんな単純な問題じゃないと思うよ。