あかんたれブルース

継続はチカラかな

ぺこむしさんへの手紙



やさしさを全能と考える
そんな思想が蔓延って久しいのですが
本当のやさしさを理解し実行できる
ものは少ないものです。

ときにそのやしさが
相手をだめにしていることもある。

チャーリーが彼女のブログから遠ざかったのは
そのやさしさが痛かったからだ。
でもね、それをいえば彼女を否定することに
なりそうで気が引けわけでもある。

たとえれば、ブロンクスの裏路地で
チャーリーはいつも彼女をみかけては
苦い思いを噛みしめていた。
「シスター、そんな連中に施してやっても
 改心なんかしないよ。むしろ図にのるだけだ」

何度そういっても彼女は微笑み返すだけなのさ。
チャーリーはにがむしを噛む。

人間って代物は狡賢くて弱虫なんだ。
その弱さを言い訳にして嘘をつき
そして裏切る。

だからチャーリーは強くなければならなかった。

自分を守るために相手を否定するような
そんな生き方を彼のプライドは許さなかった。

彼女は弱虫か?
いや、天然だけど真っ直ぐで信念を持っている。
違うなあ、守ろうとしていた。
保身じゃなくてね。自身のプライドを。
まぶしくもあったよ。
でも、ストイックな彼女の生き方が痛かった。

友人が知らせてくれた。
彼女が痛んでいると。

チャーリーは一晩考えて
手紙を書きました。


親愛なるぺこむしさんへ

やさしさは万能じゃない。
その確認作業は耐久テストみたいで不毛だ。
その苦行がそこまで追い込んでしまっている。
自分を、そして相手を傷つけている。
噛み癖のある犬は躾けてあげないと
みんなが傷ついてしまう。
言葉は人を傷つける。
それを吐いた者も傷つくのだ。
卑しくさせてしまうのだ。
そういうことをさせてはいけない。
子供達の教育にもよくないよ。
わたしは決してやさしさを否定するものではないが
あなたのやさしは残酷です。
ボタンの掛け違えは一度解いて、
もう一度掛け直す。
これが正しい筋立てだ。
シナリオを反故にすることはない。
いまそこで筋立てに変化を加えるだけで
事は足りるよ。

幸運を祈る。

チャーリー・ピッチピッチ・チャップマン