あかんたれブルース

継続はチカラかな

ハメットを演じたボギーの代役


大人の恋愛講座(6)

さて、身代わりにされた
ジェイソン・ロバーズは1977年に
『ジュリア』でアカデミー助演男優賞を受賞する。
共演はヘンリー・フォンダの娘ジェーン・フォンダ
この作品でロバーズが演じたのは
ハードボイルド作家のダシール・ハメット
ハメットといえば
ボギーの代表作『マルタの鷹』の原作者なのだ。

この作品『ジュリア』は
作家・脚本家リリアン・ヘルマンの原作で
親友ジュリアンとの友情を主軸に
リリアンとハメットとの恋愛が描かれている。
自伝的な作品なんだね。

リリアンとハメットは恋人であり
同志であり、男と女の友情で結ばれていた。
二人は全米非参戦委員会に加わっていた。
ハメットは米国共産党員だった。

戦後、東西冷戦から
赤狩りが全米、そしてハリウッドに吹き荒れる

1952年、ヘルマンは非米活動調査委員会に呼び出され
共産党加入者の友人の名前を尋問される。
そのとき彼女は
「たとえ自分を守るためであったとしても、
 長年の友人を売り渡すのは、
 わたしにとっては、冷酷で、下品で、
 不名誉なことであると言わざるを得ない。
 わたしは、政治には興味がないし、
 いかなる政治的勢力の中にも
 自分の居場所を見出したことはないが、
 それでもわたしは、今の風潮に迎合して、
 良心を打ち捨てることを潔しとしない」

結果、彼女は長期にわたり映画界で
ブラックリストにあげられた。
ハメットは親友エリア・カザン
保身からの裏切りによって
法廷侮辱罪で有罪判決を受け受刑した。

そういうリリアンとハメットの関係が
この『ジュリア』で簡潔に描かれている。

夜の浜辺で篝火を燃やして
対峙する男と女
女は苛立ち理不尽とジレンマを男に訴える
双方ウイスキーのボトル抱えている
男は常に冷静で、的確な答えを女に与える
いや問いかけ、謎をかけだっただろうか
女は憤り悶絶する。
男のほうが一枚も二枚も上手なのだ。
けれども突き放しているようで、
男は優しい
超かっちょーいいいい!

これをジェイソン・ロバーズが演じたわけだ。
見事にね。
そりゃあアカデミー賞受賞するよ。

スペンサーからボギー
ハメットを通してジェイソン・ロバーズ
いい男の系譜が綴られていく

いい男にはいい女が寄り添っている。