あかんたれブルース

継続はチカラかな

不審な男

上手な損の利益(3)


これでも聴いて気合を入れてくれよ。
http://www.youtube.com/watch?v=HC4cb2RXXgA

どうもトリックスターさんの影響で
本来の自分を取り戻していく。
これが俺のBGMさ。

なにをトチ狂って歌謡浪曲なんぞに
ハマっていたのか
まるでキツネかタヌキに誑かせていたようだ。

曲の途中でブッって鳴るのはオナラじゃないぞ
サックスの音だ。

昨日、軽快なリズムで
だけどスローな俺は亀有駅を背にして
my Bicycle で物思いに耽りながら
長野の水車小屋みたいに漕いでいたのさ。

「ヘイ、ミスター旦那さん」

と後ろから声をかけられたので
ああまた団地妻かと振り返っると
ポリスだったぜ。

どうやら不審者にみられたようだ。やばいぜ

「旦那さんこの自転車はどちらで購入されました」

「弁護士を呼んでくれ」

「あなたには黙秘権があります」

「むずむずしちゃう」

「防犯シールは埼玉県越谷になってますね」

「さあねえ女房が買ったんでわたしは知らない」

「盗難防止ロックが付いてないようですが」

「製造メーカーに問い合わせてみてくれ」

「真昼間から悠々と老荘ですか」

「お生憎さまでした陽明学なんだな」

「これは失礼しました」

「仕事なんだろう」

「おいくつですか」

「178」

「いや身長じゃなくて」

「血糖値だ」

「高いですね」

「前は平均360だった」

「そりゃ不味い」

「ひどい時は480あった。ぜんぜん平気」

「500越えたら死にますよ」

「特異質なんだ。A1cも12.8あった」

「超人ですねえ」

「いまは7.1だ」

「改善の秘訣は」

「愛だな」

「愛ですか」

「愛を知ったのさ」

「どうやって」

「わたしには黙秘権があったな」

「秘密ですか・・・お仕事は?」

「内閣調査室勤務」

「結構です。お引止めして申し訳ありませんでした」

「愛だぞ」

「はい」