ミネルヴァの焼豚

ミネルヴァの梟は黄昏どきに飛び立つ
なんて申しますが
飛べない豚はただの豚
ぶひぶひ文句ばっかり言ってる。
逆立ちしてもローストビーフにはなれない。
ベーコンかチャーシューがお似合いなのさ

牛や熊はときどきツボにはまりますが
豚は絶対に儲からない。
これ、ウォール街の常識だそうです。
豚じゃだめなんだな。
羽があっても飛べないんだ。
目方の問題じゃない。根性の問題なのだ。

限りないものそれが欲望～♪
と歌ったのはお元気ですか井上揚水でした。
人間の欲求欲望
食欲性欲睡眠欲、飲む打つ買う
金欲出世欲名誉欲なんてありますが小さい小さい
マズローはそれを人間の欲求5段階説で分析した。
下から順番にいきますと
1.生理的欲求（Physiological needs）
2.安全の欲求（Safety needs）
3.所属と愛の欲求（Social needs / Love and belonging）
4.承認（尊重）の欲求（Esteem）
5.自己実現の欲求（Self-actualization）

となる。
人間の最終欲求の目標は自己実現となる。
当然、そこには個人差もあるわけだ。

とは別に、光あるところには影がある
白土三平の『サスケ』のオープニングキャッチ
つまりは物事には表裏があるものです。
まるでコインの裏表のように
背中合わせの愛憎がある。
可愛さあまって憎さ100倍！
人生ドラマは愛と憎しみのボレロ
人生（禍福）はあざなえる縄のごとしバイ向田邦子だ。

その裏表の選択次第で地獄天国が決まる。
恐ろしいものです。

誰だって地獄は嫌だ。ババなんって引きたくない。
幸運に恵まれたい幸せになりたい。
のはずなのですが、なぜかそうしないんだ。
なんでだろう？

人間のなかに破戒を求める欲求がある。
そういうブラックがいて囁くのだ。
壊しちゃえよと誘惑するんだ。

幼い頃、プラモデルを作ったりした
経験をお持ちの方
お小遣いを貯めて買った「戦艦大和」
時間をかけてやっと完成した！
満足満足・・・
風呂の湯船に浮かべてみたくなる
近くの公園の池に浮かべてみたくなる
そうすると・・・石投げてみたくなる
「敵艦隊の攻撃です面舵いっぱーい！」
そのうち火着けたくなる。
燃える燃える大和が燃える
プラモデルはよく燃えます。黒い煙くさい臭い

炎上・・・海ゆかば

満足する。

変な話ですよね。

同じことが男女の間にもあります。
自分で構築しておいて自分で壊したくなる衝動。
無意識ふくめて、事業などにもある。
社会や時代に対しても同じ。

人間は、私的にも公的にも
他人を世の中を呪いたい理由を無数に有している
といいます。この性、恐いものです。
わかっちゃいるけどやめられない。

紅の豚でマルコは言った。
「飛ばない豚はただの豚だ」

ゲーテはこう付け加えた
「人間は本当に落ちるところまで落ちると
　もはや、他人の不幸を喜ぶ以外の楽しみしか
　なくなってしまう」

中島みゆきはこう歌い嘆いた
「ヒトの不幸を祈るようにだけは
　なりたくないと願ってきたが
　今夜お前の幸せぶりが風に追われる
　私の胸に痛すぎる」

かもめはかもめ
豚は豚
飛べない豚はただの豚
痛くて、つらい。


哲学的に街道を往く