ミネルヴァの焼豚（9）
＞なにかとてつもない勘違いが罷り通っている
について、考察していきます。
最近ではあまり聞かないけれど
1970年代後半まで「玉虫色」という言葉が
確かに使われていたと記憶する。
玉虫色とは昆虫の玉虫からきている。
緑のような紫のようなテカテカした
光の角度によって色が変わる。
玉虫という生地が
コートの裏地に用いられていたりもしたものです。
「玉虫色の発言」としてマスコミなどが
大いに批判の材料に活用したものです。
それもあって、日本人はこれに辟易していた。
物事を白黒ハッキリさせたいという欲求が生まれた。
放言というものが支持されたのは
昭和30年代に入ってからだ。
ＴＢＳの「時事放談」で細川隆元が盛んにやった。
細川は元朝日新聞記者。
相方の小汀利得は元日経の記者。
好き勝手無責任に正論を言えるから小気味良い
日曜朝の8時半からでしたが高視聴率だった。
小学生のわたしも観てたほどだ。
意味はよくわからなくてもなんとなく面白かった。
玉虫色の表現の呪縛が解けたのは
1980年代前半だと思う。
それをやってのけたのはツービートのたけしだった。
所謂「毒ガス」という毒舌トークです。
言いづらいことをズケズケいう毒舌には
本音と建前の綱引きを圧倒的な勝利で
本音のコールド勝ちにしました。
漫才師の芸風が日本の文化を変えた
といっても過言ではない。
いわゆるそれまでの常識に対するアンチテーゼだね。
良い面もありますが当然悪い面もある。
ここで、ある錯覚が生まれる。
毒舌＝本音・・・やがて＝正論・知的
毒舌とかはラジオのＤＪ土居まさるとかから数える
のかもしれませんが、ざっくりとお笑いでいくと
（1）タモリ（噂のチャンネル・和田アキ子、山城新伍）
↓ さんま（ヤングＯh!Ｏh!) 鶴瓶
（2）たけし（ひょうきん族・漫才ブーム）
↓ とんねるず（石橋）
（3）ダウンタウン（ガキの使い）
という系譜をたどるのではないかと思います。
（1）タモリの毒舌はまあそこはかとなく
大人というか兄貴的なエスプリでしたが
（2）たけしの毒舌は足立区の下町で父菊次郎が
飲み屋で管を巻く庶民の本音であり、
それを真似する小学生みたいなコンセプトだった。
（3）は尼崎のヤンキーの立ち話でしょうか
この（2）と（3）の影響が大きい。
日本人の遺伝子に変化を与えたような感じです。
物事をハッキリいうのは、子供の特権特徴でもある。
反社会的な発言であっても
未成年であればそこは許される。甘えの構造がある。
タモリの場合は
そこをテクニカルに黒いオブラードに包みます。
たけしは
酔っ払いのオヤジと小学生レベルのハイブリッド。
ダウンタウンは・・・モロでした（汗）
だから横山やすしが激怒した。それは芸ではないと。
しかし、時代はダウンタウンを歓迎します。
ここには（1）から（2）の足慣らしがあったから
ともいえる。
関東と関西の相違はありますが
共通していえることは「低年化」がある。
それとたけし以外は「イジリ」で成立する。
これはアンチテーゼのツッコミが主流ということです。
漫才師だったたけしがピンで
落語家のはずのさんまが誰かイジル相手が
いないとダメという
そう考えると変な話ですね。
ま、そういうわけで日本の会話に
ツッコミ派が急増し需給のバランスを崩した。
そっちの方が楽だと考えた。
見本も多いし、簡単そうだし、傷つかない。
わたしは以前、関西の友人に対して
その会話手法を注意したことがありますが
そのときに「これが大阪のノリだ」と返された。
では、君は中田ダイマルラケットを知っているか？
と問えばそんなものは知らないという。
関西弁の話術が変わった。
これはある意味で関西人じゃないから
気づくのかもしれません。
わたしが関東人でもない九州人だから
というのもあるでしょう。
まあ、言葉は時代と共にかわりますが
そのスタンスが変わった。
はっきりいうと、意地悪です。
品性がない。
これは関西に限ったことではなく
メディの影響から全国共通、
特にネット（言語）などで感じる。
揚げ足とりが横行している。が、そのツッコミが
的を射てない場合が非常に多い。（注.1）
いま社会問題のひとつに
コミュニケーション能力の劣化がありますが
この問題のなかに、
マニュアル化した会話術がある。これ断言する。
言葉に魂が込められていない。
それが面白いと勘違いしている。
それが本音っぽくて愛情表現だと勘違いしてる。
それがインテリジェンスだと勘違いしてる。
まわりがみんなそうだから
そういうものだと勘違いしている。
身を正す姿勢を正すということは
まず言葉からだ。
嘘だと思うのであれば
http://video.search.yahoo.co.jp/search?rkf=2&ei=UTF-8&p=%E4%B8%AD%E7%94%B0%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%A9%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88
これでも視聴して研究しなさい。
