あかんたれブルース

継続はチカラかな

眠れない理由

ガダラの豚足(4)

♪眠れない夜風が窓をたたく
 手招きして誘い水をまく 眠れない夜

なつかしい泉谷しげるの歌です。

うつ病などの症状で不眠は大きな障害。
眠れない理由には「不安」や「悩み」が
あるからでしょうねえ。
しかし、ある意味でそれは脳が興奮状態にある
ともいえる。つまり躁状態といえる。

日本でうつ病が発生しだしたのは
黒船来航(1853年)からだと記しました。
「泰平の眠りを覚ます上喜撰たつた四杯で夜も眠れず」
眠れなくなったんだ。原因は不安だ。

本格的な蔓延は明治になって廃藩置県で武士階級の
失業からです。もう家禄も何もない。
そこで勉学で身を立てようとします。
母親も必死だ。御家再興と教育ママです。
このプレッシャーから欝になっていったそうです。
わかっていてもできないことがある。
こういう閉塞感が欝の原因なんでしょうね。

日露戦争で閉塞のキーワードが2つあります。
海軍の旅順港閉塞作戦。これ失敗して
陸軍の旅順要塞攻略。ここで司令部が閉塞しちゃう。
乃木将軍以下みーんな欝状態。
そして日露戦争勝利の後、躁から醒めて
日本人は一気に欝状態になってしまった。
時代性があるんですよね。
国家的欝もあるぐらいですから。
歴史は躁と欝を交互に繰り返して発展していきます。
日中戦争から太平洋戦争にかけては躁状態
昭和18年頃から敗戦、朝鮮戦争までが欝状態
高度成長から万博までが躁状態
オイルショックで欝状態
バブルで躁状態
バブル崩壊から現在まで・・・ずーっと欝状態
でもね、躁状態のほうが恐いんですよ。
イケイケどんどんですからね。

それ以前、つまり黒船来航以前、外圧とか
他国との比較とプレッシャーを意識する以前
日本が近代化に踏み出す以前は躁欝病はなかった。
それまでは癇か癪か憑き物ぐらいだったと記しました。
もっと詳しく調べると、「柔狂」や「剛狂」といった
精神疾患で当時の医学文献には
狐憑きも野狐の祟りなどではない。
 被害妄想、誇大妄想、感情荒廃、強迫観念、自閉、
 不眠、幻想、抑鬱などは狂の症状である」
つまりこれ、分裂症(→統合失調症)だよね。

だから森田正馬狗神憑きの研究をして、そこから
ドイツ医学と決別して独自の療法を確立したのか。
森田は狗神憑きの研究から分裂症(統合失調症)の
傾向を読み取った。
そして、分裂症(神憑きを含む)と躁うつ病の違いを
確認したのです。
森田自身が躁うつ病を経験していたから。
といって、日本で躁うつ病が認識されるのは
まだまだ先ですけどね。

統合失調症の特徴は被害妄想と幻覚・幻聴です。
従ってこれが、当時の「=精神病」だった。
で、19世紀半ばに欧州で躁うつ病が認識され
1899年(日露戦争の5年前)に分類訳された。
躁うつ病のほうが後発なんですね。
日本で躁うつ病が蔓延したのは日露戦争の後です。

ここで躁うつ病の原因を推理してみたんです。
推理ですよ
産業革命(18世紀半ば~19世紀)に
あるんじゃないか。
近代化がキーワードでしたよね。

人間は自然にストレスを感じない
人間がストレスを感じるのは人工的なもの。
そして、閉塞感と格差・比較だ。

うつ病状態の人の特徴は
(1)自分の罪悪感に苛まれる「罪業妄想
(2)自分がガンとか病気ではないか「心気妄想」
(3)自分が貧乏になるんじゃないか「貧困妄想」
以上の3つを「うつの三大妄想」という
そうです。
共通していえる点は、すべて自分のことに集約される。

「私」という自意識過剰
そこに個の肥大化があるのではないか。

眠れぬ夜
http://www.youtube.com/watch?v=AtV_P_Slr6o

たとえ君が目の前に ひざまづいてすべてを
「忘れてほしい」と 涙流しても
僕は君のところへ 二度とは帰らない
あれが愛の日々なら もういらない

愛にしばられて 動けなくなる
なにげないことばは 傷つけてゆく
愛のない毎日は 自由な毎日(←ココ要注意
誰も僕を責めたり できはしないさ
それでもいま君が あの扉を開けて
入って来たら 僕には分からない
君のよこを通りぬけ とびだしてゆけるか
暗い暗い暗い 闇の中へ
眠れない夜と 雨の日には
忘れかけてた 愛がよみがえる


「愛のない」と「自由」だ!