あかんたれブルース

継続はチカラかな

ジャングルジムの和製ワイルド

ダサイオサムは恥しい(2)


「他の生き物には絶対に無くて、
 人間にだけあるもの。
 それはね、ひめごと、というものよ 」
『斜陽』より

なんかこういう台詞がでてくると
太宰って日本のオスカー・ワイルドみたい
なんですが、はてこの言葉
作家として太宰がヒロインかず子(モデル太田静子)
にいわせたものなのか・・・怪しい。

太宰の本音は『新ハムレット』にある
「信じられない。僕の疑惑は、
 僕が死ぬまで持ちつづける」

その秘め事で太宰はあの用心深い衣を
脱ぎ捨てただろうか?
常に女のほうがリードしてる。

織田作之助
「僕と共感せえへんか」と口説き
太宰は「命がけの恋愛をしようと」
と誘った。
なんかさあ、この命がけっていうのが
芝居がかっている気がする。
う~ん完全にハッタリだ。

結局、彼の苦悩は自分のことばかり
だったわけで
彼は「統合失調症みたいな」ではなく
完璧に「躁うつ」だったわけです。
太宰の道化は「そう」いう事情だ。

太宰のハニカミには後ろめたさがあった。
彼に惹かれてものたちは
その頼りなさ危なっかしさの奥にある
そういう誠実さを感じたんじゃないかな。
下手な道化を演じれば演じるほど
それは露骨になったのかもしれない。
あああ、もうみてられない。って

でも苦悩する太宰は自分のことでしか
苦悩はしない。
掘り下げて掘り下げていくけれど
結局は自分自身とは向き合えなくて
核みないなものがなかくて空洞だったのかな
自身をやり過ごして逝っちゃった。

太宰が妻美和子に宛てた遺書
「誰よりもお前を愛していました」
「あなたを嫌いになったから
 死ぬのでは無いのです。
 小説を書くのがいやになったからです。
 みんな、いやしい欲張りばかり。
 井伏さんは悪人です。」

ひとつだけ
「小説を書くのがいやになった」
これだけが真実なのかもね。
なにをいっても誠のない男
なぜそういうものを
人は気にしてしまうのか

あっ、己がないからか?

出口と入口がまったく別なのに
端からそうみえるんだ。
ジャングルジムの和製ワイルド
享年38歳